毒舌男子の愛は甘い。



バイトのピークタイムが落ち着いて、ちょうど休憩に入ったタイミングだった。



スタッフルームで水を飲んでいると、横にいた佐久間悠人が、ぽんと手を打った。


「そうだ!次の定休日って祝日じゃん? みんなでどっか遊び行かない?」


「えっ、いいじゃんそれ!」


三浦さんがすぐに食いつく。


「たまにはさ、制服じゃないみんなでさ~。カフェ以外で顔合わせるの、新鮮そうじゃない?」


「たしかに……」



梓も、自然と笑顔になった。



「めっちゃ楽しそう!どこ行く!?」


「遊園地とか、どう?」と悠人。


「わー!いいじゃーん!!」


三浦さんがすっかりテンション高めに盛り上がっている。



「じゃあ、凪も誘おっか!」と三浦さん。



(……えっ、水野くん?)


遊園地って、人が多くて賑やかで、行列だらけで。


あの落ち着いた凪のイメージとは、なんとなく真逆な気がして、梓は内心ちょっと不安になる。



(水野くん、絶対、断ると思うけど……)



そのまま悠人がスマホを取り出して、何気なくメッセージを打ち始める。


「えっ、今送るの?」


と三浦さんが笑いながらのぞきこむ。



「うん。聞いてみるだけタダでしょ〜」



軽い調子で打ち込んで、送信。