『あなたもだけど、自分で頼んでおいて“苦い”ってなに!?分かってたことでしょそんなの!』
「あ…ご、ごめんなさい…」
『しかも途中で“苦くて飲めない”って言ってミルクとか砂糖とか混ぜちゃって…それなら最初からカフェオレやラテ頼めって話よ!!』
「そ、そうだよねー」
『この店にはないけど!!』
「ないんだぁ……」
怒濤の愚痴だった。
女の子は疲れたのか、はぁはぁと肩で息をしながらその場に座り込んでしまう。
「わっ…だ、大丈夫…?」
『…ええ、少し落ち着いたわ…ありがとう』
女の子が疲れたように小さく笑う。
私は失恋のことなんてすっかり忘れて、彼女に話しかけた。
「えっと…コーヒーって大変?なんだね…?」
私の言葉に女の子はうつむく。
「そうね…他の子と違って、私は残されることも多いわ。誰も私の苦味の奥深さを知ろうとしてくれないの…」
今度は女の子がぽろぽろと涙を流す。
その姿がなんだか可哀想で、なにかしてあげたいと思った。
私はとっさにカップを持ち、残りのコーヒーを一気に飲み干す。
そして…。
「んぐっ………す、すみません、コーヒーのおかわりお願いします…!」
そう言って店員を呼んだ。



