不思議な町の喫茶店


大人びた雰囲気の喫茶店。
そのテーブル席に座って、一枚のラブレターを見つめる。
これは今日の告白のために、私が先輩へ書いたものだった。

「…はぁ…まさか彼女がいたなんて……」

何日も何日も文章に悩んで、書き直して…一生懸命に書ききったこのラブレター。
告白の直前に彼女がいると分かり、結局渡すことも…告白すらできなかった。

「お待たせ致しました…コーヒーです、ごゆっくりどうぞ…」

「…ありがとうございます…」

注文したコーヒーを運んできてくれた店員に頭を下げてから、カップへと手を伸ばした。
ゆっくり口元へ持っていき、まだ熱い淹れたてのそれに息を吹く。

___ふぅ、ふぅ…。

ほんの少しだけ表面が冷めたコーヒーを口に含み、飲み込む。
独特の苦みと酸味が口の中に広がっていく。

「…うぇ…苦……!!」

苦みにつられて涙が私の頬を伝う。
…そう、これはコーヒーが苦いから泣いてるだけ。
失恋したから泣いてるわけじゃないんだ。