不思議な町の喫茶店


口の中に広がるチョコの甘み、ふわふわのスポンジ、滑らかなガナッシュ。
舌の上で濃厚なチョコレートケーキを堪能したあと、私は本題を切り出した。

「実は、恥を忍んでお話致しますが、私はこれまで一度も“恋愛”というものをしたことがなくて…18たる歳でこれではいけないと思ったのです」

世間で言うところの“青春”というものを、私はこれまで部活動(しんぶんぶ)に捧げてきたようなものだ。
周りの女子が…男子が恋をして彼氏彼女を作る中、一途に校内新聞を作り続けてきたから、そういったものには一切関わりがない。
しかし私とて、一度きりの青春をキラキラと過ごすその様に、憧れがないと言えば嘘になる。
だけど“恋”とはどう自覚するものなのか?

「そんなある日、出会いました!図書室で本を読んでいる男子です…どこか物悲しい雰囲気をまとった彼を見たとき、私の視線は釘付けになった」

私は天井を見上げ、図書室の男子を思い出しながら続けた。

「その時に思ったのです。…これが“恋”かもしれないと…!」

勢いよく妖精様へと顔を向ける。
彼女は頷きながら、静かに私の話を聞いてくれていた。