「ヤバ、“魔法”かかってるじゃん!」
“魔法”…それはこの町に住んでいれば、誰でも一度は目撃するもの。
店そのものや商品、場所、人…色々な“魔法”があるっていうけれど、食べ物にまでかかってることあるんだ…。
『ふふ、“魔法”を見たのは初めて?』
ふわりと白いドレスを揺らしながら近づいてくるちっちゃな女の子。
その頭には苺を模したような小さなティアラを飾っていた。
めっちゃ可愛い。
「いーや?子供のころに何度かあるよ。公園で“魔法”を使うピエロがいてねー、パパが連れて行ってくれてたの」
言いながら頭に浮かんだパパの顔は、どこかぼやけていてよく思い出せない。
離ればなれになって10年も経つし、仕方ないか。
「…あれ…?」
___仕方ない。
その言葉がよぎったとき、ふと胸に小さな穴が空いたような感覚がした。
なんでだろう…?
『そのパパっていうのは、本当のパパの方?』
「え…?本当のって……」
女の子の言葉に、私の指先が髪をいじりだした。



