君の隣にいたいだけ

ある晴れた午後、二人はいつもの場所、学校の屋上にいた。

風が心地よく吹き抜け、遠くの街並みがキラキラと輝いて見えた。

「ねぇ、悠真」

美咲がそっとつぶやく。

「私、病気になってから、初めて未来を楽しみに思えたよ。

これからも、いろんな景色を一緒に見たい。」

悠真はその言葉に胸が熱くなり、強く手を握り返した。

「絶対だよ。君と見る景色は、どんな場所でも特別だから。」

二人の間に流れる静かな時間。

それはまるで、何にも代えがたい小さな奇跡のようだった。

過去の痛みも、未来への不安も、今この瞬間の輝きの前では色あせていく。

美咲の笑顔は、今日も悠真の心に深く刻まれていった。