君の隣にいたいだけ

季節はゆっくりと移り変わり、春の風はやわらかく彼女たちを包んでいた。

美咲はまだ完璧に心を開いたわけじゃないけれど、悠真と過ごす時間が少しずつ増えていった。

ある日の放課後、二人は校庭のベンチに座っていた。

夕日が二人の影を長く伸ばし、空はオレンジ色に染まっている。

「ねぇ、美咲」
悠真が静かに言った。

「もし、あとどれだけ時間があっても、
俺は君の隣にいたい。ずっと。」

美咲は胸の奥が熱くなるのを感じた。
「私も、悠真と一緒にいたい」——その言葉はまだ口にできなかったけど、心はそう願っていた。

「約束しよう。どんなことがあっても、君の隣にいるって」

悠真の真っ直ぐな瞳が、彼女の不安を少しずつ溶かしていく。

美咲は小さくうなずき、二人だけの秘密の約束を交わした。