その日、美咲はいつものように病室で悠真から届いた花を眺めながら過ごしていた。悠真の手紙には「君が笑っていてくれるだけで、僕は幸せだよ」と書かれていたが、いくら読んでも胸が苦しくなる。美咲は、だんだんと自分の体調が思うように回復しないことに、少しずつ心が疲れていた。
病室のドアが開き、看護師が小さな女の子を連れて入ってきた。
「美咲さん、こちらの新しい入院患者さんです。今日からお世話になりますね。」
その子は、小さくて細い体をしていた。まだ背丈もあまり伸びていない、小学五年生くらいの女の子。髪は薄い茶色で、少しぼさぼさに見えたが、その瞳はとても大きく、何かを必死にこらえているような力強さが感じられた。
「こんにちは。」その女の子は、少し恥ずかしそうに美咲に挨拶した。
「こんにちは。」美咲も微笑んで答えたが、その笑顔の裏に、少しだけ躊躇いがあった。美咲の病気はすでに進行していて、気力も体力も落ちている。そんな中で、こんな小さな子が同じ病気で入院してきたことに、どこか複雑な気持ちを抱かずにはいられなかった。
女の子はベッドの横に腰を下ろし、少しだけ顔を上げて美咲を見つめた。
「私、きっとあなたよりももっと大変なことになるんだろうな。」その子がぽつりとつぶやいた。
美咲は驚いたようにその子を見つめた。「どうしてそんなことを言うの?」
「だって、私はまだ小さいし、治る希望がないんでしょ?」女の子は、無邪気な顔をして言った。その目には、どこか大人びた覚悟が感じられたが、同時にとても不安な表情も浮かんでいた。
美咲はその言葉に胸が痛んだ。彼女もまた、同じ病気を抱えて生きている。しかし、こんなにも若い子が、同じ病気でこんなにも先が見えない不安を抱えていることが、どれほど辛いことなのか、美咲にはわかりすぎるほどわかっていた。
「治るかどうかは、誰にもわからない。でも、私はあなたと一緒にいたいと思っているよ。」美咲は、自然にその子に手を差し伸べた。
その子は、美咲の手を見つめ、少しだけ戸惑うようにしてから手を握り返した。
「あなたも、怖いんだね。」その子は、小さな声で言った。
美咲は頷いた。「私も怖い。けど、今は少しでも笑顔でいようと思っているの。」
その日から、二人は少しずつ関わるようになった。最初は、無理にでも会話をしようとしていた美咲だったが、次第にその子との時間が心地よく感じられるようになってきた。女の子は名前を「花音(かのん)」と言い、彼女が好きなことや趣味、夢を語ると、美咲も心が温かくなった。
ある日、美咲が点滴を受けている間、花音が持ってきた折り紙を見せてくれた。「これ、私が作ったんだよ! ほら、これ、きれいでしょ?」
花音は小さな手で折った折り紙の花を、美咲に差し出した。その花は色とりどりで、どこか元気をもらえるようなデザインだった。
「すごいね、花音ちゃん。きれいだよ。」美咲はその花を手に取り、微笑んだ。
「ありがとう!」花音は嬉しそうに手を振った。「美咲お姉ちゃん、早く元気になってね。私も頑張るから。」
その言葉が美咲の胸にしみた。花音の無邪気な言葉に、自分の心の中で何かが揺れた気がした。彼女は、今まで自分がどれだけ孤独で、自分の病気にだけ向き合ってきたのかを考えさせられた。
「ありがとう、花音ちゃん。私ももっと元気になるよ。」美咲は静かに答えた。
それからというもの、美咲は花音と少しずつ心を通わせていった。お互いに病気を抱えながらも、どこかで支え合っているような、そんな気持ちになっていった。花音は、辛いことがあっても笑顔を絶やさない子で、美咲もそんな花音を見ていると、少し元気をもらえる気がした。
ある日のこと、病室の外から看護師がやってきて、美咲に告げた。
「美咲さん、今夜はお見舞いの方がいらっしゃるそうです。」
美咲はその言葉に、少しだけ顔を上げた。「お見舞い?」
看護師は微笑んで言った。「ええ、悠真さんです。」
その名前を聞いた瞬間、美咲は胸が高鳴った。悠真が来てくれることが、どれだけ自分を支えてくれるか、痛いほどわかっていた。しばらくして、悠真が病室に入ってきた。
「美咲、来たよ。」悠真は優しく微笑みながら、彼女の手を取った。
その瞬間、花音が顔を上げ、少しだけ照れくさそうに言った。「美咲お姉ちゃん、悠真さん、かっこいいね。」
美咲は少し驚いたが、悠真はにっこりと笑って答えた。「ありがとう、花音ちゃん。」
その後、悠真と美咲、そして花音は、少しだけ一緒に過ごす時間を持った。悠真が花音に折り紙の作り方を教え、花音が美咲に「もっと元気を出してね」と励ましてくれる。なんとも温かい、穏やかな時間が流れていた。
病室のドアが開き、看護師が小さな女の子を連れて入ってきた。
「美咲さん、こちらの新しい入院患者さんです。今日からお世話になりますね。」
その子は、小さくて細い体をしていた。まだ背丈もあまり伸びていない、小学五年生くらいの女の子。髪は薄い茶色で、少しぼさぼさに見えたが、その瞳はとても大きく、何かを必死にこらえているような力強さが感じられた。
「こんにちは。」その女の子は、少し恥ずかしそうに美咲に挨拶した。
「こんにちは。」美咲も微笑んで答えたが、その笑顔の裏に、少しだけ躊躇いがあった。美咲の病気はすでに進行していて、気力も体力も落ちている。そんな中で、こんな小さな子が同じ病気で入院してきたことに、どこか複雑な気持ちを抱かずにはいられなかった。
女の子はベッドの横に腰を下ろし、少しだけ顔を上げて美咲を見つめた。
「私、きっとあなたよりももっと大変なことになるんだろうな。」その子がぽつりとつぶやいた。
美咲は驚いたようにその子を見つめた。「どうしてそんなことを言うの?」
「だって、私はまだ小さいし、治る希望がないんでしょ?」女の子は、無邪気な顔をして言った。その目には、どこか大人びた覚悟が感じられたが、同時にとても不安な表情も浮かんでいた。
美咲はその言葉に胸が痛んだ。彼女もまた、同じ病気を抱えて生きている。しかし、こんなにも若い子が、同じ病気でこんなにも先が見えない不安を抱えていることが、どれほど辛いことなのか、美咲にはわかりすぎるほどわかっていた。
「治るかどうかは、誰にもわからない。でも、私はあなたと一緒にいたいと思っているよ。」美咲は、自然にその子に手を差し伸べた。
その子は、美咲の手を見つめ、少しだけ戸惑うようにしてから手を握り返した。
「あなたも、怖いんだね。」その子は、小さな声で言った。
美咲は頷いた。「私も怖い。けど、今は少しでも笑顔でいようと思っているの。」
その日から、二人は少しずつ関わるようになった。最初は、無理にでも会話をしようとしていた美咲だったが、次第にその子との時間が心地よく感じられるようになってきた。女の子は名前を「花音(かのん)」と言い、彼女が好きなことや趣味、夢を語ると、美咲も心が温かくなった。
ある日、美咲が点滴を受けている間、花音が持ってきた折り紙を見せてくれた。「これ、私が作ったんだよ! ほら、これ、きれいでしょ?」
花音は小さな手で折った折り紙の花を、美咲に差し出した。その花は色とりどりで、どこか元気をもらえるようなデザインだった。
「すごいね、花音ちゃん。きれいだよ。」美咲はその花を手に取り、微笑んだ。
「ありがとう!」花音は嬉しそうに手を振った。「美咲お姉ちゃん、早く元気になってね。私も頑張るから。」
その言葉が美咲の胸にしみた。花音の無邪気な言葉に、自分の心の中で何かが揺れた気がした。彼女は、今まで自分がどれだけ孤独で、自分の病気にだけ向き合ってきたのかを考えさせられた。
「ありがとう、花音ちゃん。私ももっと元気になるよ。」美咲は静かに答えた。
それからというもの、美咲は花音と少しずつ心を通わせていった。お互いに病気を抱えながらも、どこかで支え合っているような、そんな気持ちになっていった。花音は、辛いことがあっても笑顔を絶やさない子で、美咲もそんな花音を見ていると、少し元気をもらえる気がした。
ある日のこと、病室の外から看護師がやってきて、美咲に告げた。
「美咲さん、今夜はお見舞いの方がいらっしゃるそうです。」
美咲はその言葉に、少しだけ顔を上げた。「お見舞い?」
看護師は微笑んで言った。「ええ、悠真さんです。」
その名前を聞いた瞬間、美咲は胸が高鳴った。悠真が来てくれることが、どれだけ自分を支えてくれるか、痛いほどわかっていた。しばらくして、悠真が病室に入ってきた。
「美咲、来たよ。」悠真は優しく微笑みながら、彼女の手を取った。
その瞬間、花音が顔を上げ、少しだけ照れくさそうに言った。「美咲お姉ちゃん、悠真さん、かっこいいね。」
美咲は少し驚いたが、悠真はにっこりと笑って答えた。「ありがとう、花音ちゃん。」
その後、悠真と美咲、そして花音は、少しだけ一緒に過ごす時間を持った。悠真が花音に折り紙の作り方を教え、花音が美咲に「もっと元気を出してね」と励ましてくれる。なんとも温かい、穏やかな時間が流れていた。


