君の隣にいたいだけ

それから、美咲は体調が良くなってきた

美咲と悠真は、病院の庭をゆっくり歩きながら、何度も顔を見合わせて笑った。外の空気はとても清々しく、久しぶりに感じる温かい日差しが、二人の心を少しだけ軽くしてくれるようだった。
悠真は美咲の手をしっかり握りながらも、ふと顔を曇らせる。心臓が少しずつ痛むのを感じるが、どうしてもそれを美咲に見せたくないと思った。

「ねえ、悠真。」美咲が優しく声をかける。彼女の声がどこか心配そうで、悠真は内心で少し驚いた。

「ん?」

「最近、あなた、あんまり無理してない?」美咲は悠真の顔をじっと見つめた。「…少し顔色が悪い気がする。」

悠真は軽く笑って肩をすくめた。「大丈夫だよ。君と一緒にいると、元気が出るから。」

しかし、その笑顔の奥に隠された痛みを、美咲は感じ取っていた。彼女は黙って悠真の手を引き寄せ、ゆっくり歩きながら言った。

「私、悠真のこと、すごく心配なんだよ。あなたも、私も、こんなふうにお互いを支え合ってるけど…でも、あなたがあまりに強がりすぎると、私はすごく辛くなる。」

悠真はその言葉に少し息を呑んだ。美咲が心配してくれていることはわかっていた。だが、自分の病気のことを、彼女に負担をかけたくないという思いが先行して、つい無理をしてしまっていた。

「俺のことは心配しないで。美咲が元気なら、それでいいんだ。」

「でも、私は悠真が笑ってるのを見ると、幸せになるけど…あなたが痛いときや辛いとき、私はどうしたらいいかわからない。」美咲は一度、ゆっくりと息を吸った。「私、あなたにだけは、弱い自分を見せたくない。でも、私も一緒に支え合いたい。」

悠真はしばらく黙っていたが、やがて静かに頷いた。「俺も、美咲に弱いところ見せたくない。でも…君と一緒にいると、弱さも大切だって気づいた。」

美咲はその言葉に驚いた。悠真が自分の病気をどう受け入れているのか、ずっと気になっていたけれど、彼がそんなふうに言葉にしてくれることに、少しだけ安心した。

「じゃあ、私ももっと素直に支えられるようにがんばるね。」美咲は優しく微笑んだ。「お互いに、無理しないようにしようね。」

悠真はその言葉に心から頷き、美咲の手を握り返す。二人の手が、どこかで繋がっているように感じられた。

「ありがとう、美咲。君がいてくれるから、俺も強くなれる気がする。」

美咲はその言葉に涙が溢れそうになったが、強くこらえた。そして、静かに空を見上げる。

「私たち、どんな未来を迎えるとしても、今この瞬間を大切にしたいね。」

悠真は深く頷き、再び美咲の手を引いて歩き出した。二人の足音が静かな庭に響く中、彼らは今だけは何も怖くないと思えるような、穏やかな時間を共に過ごしていた。