君の隣にいたいだけ

美咲の病状が急変してから数日。
点滴の機械が時折、無機質な音を立てる中で、悠真は美咲の手を握って離さなかった。
「無理、しないでいいよ。僕がそばにいるから。」

美咲はゆっくりと目を開け、かすかに微笑んだ。

「悠真…あなたこそ、大丈夫なの? 自分のこと、忘れてない?」

悠真は一瞬言葉を詰まらせ、笑って誤魔化す。

「俺は、君が元気になるならそれでいい。君が笑うだけで、僕の薬になる。」

「…それ、ずるいなぁ。」

美咲の目から涙がこぼれた。
嬉しさと、悔しさと、愛しさが入り混じったような涙だった。

「ねえ悠真、私、やっぱり……生きたい。あなたともっと、いろんな景色を見たい。笑いたい。泣いてもいいから、隣にいたい。」

悠真は力強く頷く。

「じゃあ、生きよう。どんなにゆっくりでも、一緒に。」

窓の外、雨が止んで、淡い光が差し込んでいた。

二人の影が、そっと寄り添うように重なっていた。