勉強会のご褒美は。


「人の考えてることがわかる能力…?」



私はオウム返しに言う。

そんな、信じられない。アニメとか、フィクションものでしか聞いたことがないようなことを言ってるんだよ、遥翔様。 すぐには信じられないよ…

まず、さっき私の考えてることを当てられたのも偶然の可能性だってあるわけだし。

遥翔様を疑っているわけではないといったら嘘にはなるけど、本当に本当のことなのかなって思う。 少し、試してみてもいいかな……?



「は、遥翔様っ」

「なんだ?」

「あの、能力が本当かどうか、試してもらってもよろしいですか?」

「いいけど。 それってオレのこと信じられないって言ってるのと一緒だけど…?」

「そ、それは……! 遥翔様のことは信じているんですけど、能力のほうは少し信じがたいなと…」

「それ、オレのこと信用ならないって言ってるのと一緒。」



くすっと笑いながら遥翔様は言う。

うっ、確かに…



「でも、信じようとは思ってる、ので! 私の考えてること当てるとか、してくださりますか? そしたら遥翔様の能力、信じられると思うので…!」

「わかった、信じてくれるならやるよ。」

「ありがとうございます…! では、スタート!」



まず何考えよう…

遥翔様に見られても恥ずかしくないこと考えるようにしないと…っ


「え、なに、弥夏ってオレに見られたら恥ずかしいようなこといっつも考えてるの?」

「考えてないです!!!」


な、ななな!!!!

そんな聞かれて恥ずかしいようなことなんていつも考えるはずない!! 時々、過去の黒歴史とか思い出すけど。

というかそっかぁ、能力が本当なら、今考えてることも、全部遥翔様には聞こえてる?んだよね。

どうしよ、何考えようかなぁ…… あ! 遥翔様のことべた褒めして見る、とかどう…? 

照れてるとこみてみたい…!


「いや、オレべた褒めとかそんなので照れないよ?」


えぇ……?良いと思ったのになぁ

学校でモテてるんだよね。遥翔様、顔も性格もいいし、勉強もスポーツもできるザ完璧人間って感じの人だもんね。モテてないとおかしいくらい。


「オレってモテてるのか…?」


そりゃモテるでしょ!この裏の顔になる能力さえバレなければ!

もし、遥翔様のこの能力をみんなが知ったら、どうなることか。

すでに教えちゃってるのかも知れないけどさ。



「いや、両親含めずだと弥夏が初めてだな、これ伝えるの。」

「え?!そうなんですかっ?!」



あっ、思わず声出しちゃった…



「そんな驚く?」


遥翔様は笑いながら言う。



「どうだ?これで信じられただろ?」

「はい…。まさか、こんな近くにこんな人がいるなんて思いもしませんでしたけど。」

「オレだって、最初わかったときはびっくりしたし怖かった。」

「生まれたときから知っていたわけではないんですね。」

「昔、好きな人がいたときに、オレのことどう思ってんのかなってそいつのこと見たら、聞こえてきた。」

「そうだったんですね……って、好きな人?!」

「うん、昔に好きだった人。」



遥翔様って、好きな人(昔のらしいけど)いたんだ!?

偏見ではあるけど、しごできな人って恋愛しない……そもそも恋愛感情がないのかと思ってた……



「オレは人間だし、恋愛感情くらいある。」

「そ、そうですよねぇ〜」



でも、そっかぁ、遥翔様って好きな人いたんだ。今も好きだったりするのかな?

でも昔好きだった人だから今はいない…?


「今は好きじゃないな。 好きだったといっても小2くらいのころだし。」


小2…! どんな子だったんだろ。遥翔様が好きっていうくらいだから、相当可愛いんだろうなぁっ。



「その頃はめっちゃかわいかった。振られたけど。」



えぇ?! それは悲しい……

遥翔様を振る人なんているんだ…って感じだけど。



「オレのことばっか話してるけど、弥夏はなんかないのか?」

「私、ですか? うーん……ないですね。」

「一つも?」

「はい。」



幼稚園も小学校も、ずっと護衛とか、武道とか、その他いろいろやってたからそんなことに気を回してる暇がなかったんだよね。

正式なボディーガードに認められてからは少し落ち着いたけど、恋愛感情なんて持ったことないや。



「そうか……。なら、オレのこと好きになれば?」

「……は?」

「あー、いや、なんでもない。 おやすみ。」

「は、はい、おやすみなさい…」


バタン…


……、え?! 今、遥翔様なんて言った!?

オレのこと好きになる?みたいなこと言ってたよね…!?

まってまって、頭が追いつかない!!!

いや、さすがに冗談だとは思うけどね?!


一旦、お風呂に入ってから考えよう。 たいした意味はないと思うし!


そうして、私はメイドさんたちが使っているお風呂に一緒に入り、少し挨拶をしたり、ゆっくり温まったりした。

髪も乾かして、歯も磨いて、寝る準備万端で布団の中に入る。


はぁ〜、今日はいろんなことがあったなぁ。

特に、遥翔様は今日が初対面なはずなのに勉強会やら能力の秘密やら、なんか、変なことまで言われたし…

遥翔様に言われたあの台詞を思い出し、私は枕に顔を埋める。

あれ、なんで遥翔様はあんなこと言ったんだろ? 私をからかいたかったから?

でもさでもさっ あんな顔のいい人にあんな事言われたら、違うってわかっててもちょっとドキっとしちゃうじゃん!!

〜〜〜っ! 今日はもう寝る!寝て忘れるんだ! おやすみなさい!!