遥翔様とわかれ、自分の部屋に入る。
「ふわぁっ 疲れたぁ…!」
おっきく伸びをして、ボフッとベッドに寝っ転がる。
2人で話すって、今日初めて会った人だからか意外と疲れる…
遥翔様がお風呂終わったらまた2人で勉強だぁ… めんどくさい気持ちもあるけど、せっかく遥翔様が一緒にやってくださるんだし、頑張らないとっ。
欠点ギリギリの(欠点を有に越してる英語もある)あの酷い点数からどうやって成績を伸ばしていくのか、私には全くわからないけど… あっ!
ふと、私からすると重大なことを忘れていることに気がついた。
…私、遥翔様の部屋にテスト置きっぱなしじゃない?!
もし部屋に誰か入ってきたら私の成績もバレるしプライドもズッタズタに…っ
取りに行ったほうがいいよね。 遥翔様は今お風呂に入っているはずだから、今は部屋にいないはずだし!
居たらすっごく気まずいけど、居ないことを信じて……っ
コンコンコンッ
………
遥翔様の部屋と繋がる扉をノックしてから数秒待つ。なにか動いた気配も、誰かいる気配もない。 よし、誰もいない!
「失礼しまーす…」
ドアを開け、物音を立てないように入る。
そういえば。勉強している時は目につけなかったけど、遥翔様の部屋は機械がたくさんあるんだよね、すごぉく高そうな機械たちが。
PCにモニターにキーボード、その横にはノートパソコンまでも置いてある。 そして、機械ではないけど、机と椅子も高級そうな雰囲気が漂ってる。
流石、お金持ちの家の息子さん…
今、SAIGOグループの商品、バク売れ中だもんね、お金に困ってなさそう。
SAIGOグループは、文房具を中心とした勉強に役立つ商品を開発、発売している。
どれも使いやすいって評判で、ついでにデザインも豊富で、もはや最強な文房具会社になっている。
私も、ここに入ると合わせて、SAIGOグループの商品を学校用に買ったんだけど、お店に行くとどこの棚にもSAIGOグループの商品が置いてあって驚いた記憶がある。
そんなSAIGOグループの社長さんなら、月収何万円になることやら… 年収にしたら、すごいことになると思う…
だから、遥翔様もこんなに機械とかを持ってるのかな。
……遥翔様は鷹正様の跡継ぎをやられるんだよね? てことは、そのためのことも頭に入れないといけないんだ。 大変そう…
そしたら、私の勉強に付き合ってる暇なんてないとんじゃないかな?
どうして遥翔様は私の勉強なんかに付き合ってくれているんだろう…?
なんでだろうって考えていると、廊下からトコトコと誰かが歩いてくる音が聞こえた。
誰か来る?! 急いで部屋戻らないと…っ
小机においてあった自分のやったテストを持ち、そそくさと遥翔様の部屋をあとにする。
私が部屋に戻った数秒後、隣の遥翔様の部屋の扉が開く音がした。
ふぅ、危なかったぁ……! 数秒遅かったら見つかってた。
手元にある持ち帰ってきた自分のテスト用紙を見て、うーん…と唸る。
このテストって中学1年生の問題って遥翔様言ってたよね… しかも、結構基礎の問題ばかりな気がする……
これ、本格的に私ヤバいのでは…
成績あげるって遥翔様に宣言しちゃったけど、本当に成績上げることができるかなんてわからないし。 今まで1時間以上自分から勉強したことなんて一度もないからすんごい不安。
もし成績上げられなくて遥翔様に迷惑をかけてしまったら…… 想像しただけで震えがする。
……少し、遥翔様が準備できるまで自分でテスト直しやってみようかな?
わからないところのほうが多いとは思うけど。1年と2年の教科書あるし、自分でやってみるのも大事だよね…!
まず、1番点数良かった数学からやってみようかな。
間違ってる問題は…1問だけ?! 結構できてたんだ…!やった、よかった!
問題の式は3問目の「 -5×(-4) 」の問題。
4×5は20であってると思うんだけど、なにが違ったんだろう
うーん……記号が違ったとか…?
このこと教科書に乗ってるかな、探してみよっ
えっと、この問題の単元名は、なんだろう…
正の数…?とかだった気がするから、とりあえずその言葉が入っているところを探してみようっ
1年生の問題だから、1年の教科書に載ってるかな…?
正の数正の数…あった! って、教科書の単元が乗ってるページの一番上に書いてある単元なの、これ?! 正の数負の数って書いてある……。
そんな、私、こんなに最初の方にやった問題を忘れたのか。
1年生の一番最初にやるってことは1番中学校範囲の中で簡単ってことだよね…?
このテストで間違えた問題が一文だとしても、その正の数負の数ができていないってことはそのあとの数学のテストはズタボロになる予感。
今まであんまり気にしてなかったけど、急に心配になってきた……
テストする前に予習しておくのも大事なのかも。
と、とりあえず!この間違ってる問題の直しやろう!
えぇと、教科書のどこに乗ってるんだろう、うーん…
教科書をなぞって求めているものを探す。
正の数負の数の計算だから…これ、かな?
「プラス×プラス=プラス」「プラス×マイナス=マイナス」 うん、これはわかるよっ?
次は…「マイナス×マイナス=プラス」
あれ、私が覚えてる式と違う…
マイナス×マイナスって、マイナスじゃないんだ、そうなんだ…
ってことは、この「 -5×(-4) 」の答えは 20 ?
あってるかは、わからないけど… 教科書にそう書いてあるんだから、あってるはず…!
つぎっ、国語!
えーと、…1問目あってる、2問目あってる、3問目あってる、4問目、5問目がまちがってる…と。
なんで私、4問目と5問目間違えたんだろう…… 絶対、3問目の威厳書くほうが難しいのに。 不思議だぁ…
4問目は「はかい」を漢字で書けっていう問題。
私が書いた漢字は、「破階」。 正解は……なんだ…?
国語の教科書に乗ってる、かな…? 国語辞典のほうがいい? あ、国語辞典ないや…
うーん…後回し、にする…?
「破」はあってる自信があるし、「階」最終的に迷っててきとーに書いたやつだから間違ってるとしたらこっちっていうのはわかるんだけどなぁ…
んー、なんだっけぇ…… あっ!あれじゃないっ?
「はかい」って、「破壊」こう書くんじゃなかったっけ! なんでこんな急に思い出したんだろう… どうせならテストしてるときに思い出してほしかったなぁ。
解答欄の横に 破壊 っと。
次に間違ってるのが、5問目、「きょうふ」を漢字で書け。
なにが間違ってるんだろう、結構自身があったんだけど……
うーん、うぅーん……わから、ない。
私が書いたきょうふは「恐布」。
恐ろしいに怖い、でしょ? あってる、よねぇ…?
恐ろしいに怖い…… 私の書いた恐怖の横に「恐ろしい」と「怖い」を書いてみた。
これでどこが違うか見比べてみよう。 もしかしたら熟語で書くのと、単体で書くのとで別のこと書いてるかも知れないし…! それはそれでなんで別になるのか不思議だけど。
私は、紙に書いた4つの漢字をじーっと見比べる。
恐…はあってる。 怖は… あれ?私、怖の左側の名前わかんないやつ書いてない…?
てことは、間違ってるところ、ここか! なんで別の漢字を書いたんだろ、私。不思議なこともあるんだねぇ…
国語のテストの直しはこれで終わったから、次は英語。
英語、か。 いっちばん苦手な教科なんだよなぁ…
英語の授業中、先生何言ってるのかさっぱりわからないし。 単語テストが月1くらいであるんだけど、私の場合、大体20点満点中1、2点とかだからね……
ごくっとつばを飲んで英語のテスト用紙を見る。
えと、あってる問題は2問だけ。 しかも、どっちも結構簡単な日本語訳をする問題。
うー、見たくないこの現実っ! このテスト見る限り、私は英文を書く力が全く無いことが丸わかりですね!!あははっ…
……私、英語自力で直せるかなぁ? この、3問目の「beautiful」これ。 このベアチフル…?とか本当にわからないし…
どうしよぉ、ほんとに!!
机に突っ伏して、動かないでいると、「弥夏ー?」と遥翔様の呼ぶ声がした。
「はい、何でしょうか? 扉、開けても大丈夫ですか?」
「うん。」
「失礼します。」
遥翔様の部屋につながる方のドアを開けると、遥翔様が小机の上のなにかをガサゴソと探していた。
「遥翔様…? なにかお探しですか?」
「弥夏、ここに置いてあったテスト持っていったか?」
「あ、はい。 勝手にすみません。」
「いや、大丈夫だ。」
遥翔様は私の開いたドアの先にあるテストを見て、口を開いた。
「もしかして、直しでもしていたのか?」
「…はい。直しくらいは自分でやろうと思いまして。」
「それでか。わからないところとかあれば聞くが…」
「聞いてもいいんですか? でも、遥翔様、お忙しいんじゃ…」
「大丈夫、自分のやることは全て終わらせてある。」
「す、すごい…」
まさかの全部終わらせているパターン…! さすが遥翔様。
プロフィールにも書いてあったけど、仕事がはやい。
噂によると、締切が何ヶ月も先のものまで終わらせていることが多いとか…
SAIGOグループ継いだあとも、てきぱきと仕事こなして尊敬されてそう。
「それに、オレが風呂上がったらやるっていう約束だしな。ちょうどいいし、今から1時間やるか。」
「はい、お願いします…!」

