勉強会のご褒美は。

中庭に向かう途中、遥翔様がお風呂場や書斎などにも案内してくださった。


今までは、家に仕えている私に案内をしてもらうときは、メイドさんさんがしてくれていた。

だから、まさかメイドさんさんなどの家に仕えている人たちではなく、家の人…いわばご主人に案内してもらうことが初めてで少し驚いている。


なんか、ここの家の人はみんな、とっても優しい気がするな……



「ついた。ここが中庭だ。」

「わぁぁ……っ!」



長い廊下の先にある中庭。

それは、サワサワと草木が風に揺れる音、鳥の鳴き声、小動物の足音が聞こえてくる、自然豊かな場所だった。



「すごい、きれい……!」



この家の中にこんなところがあるなんて……!

雀や鳩、鶏に兎までいるっ!



「遥翔様っ、このお家の中庭はこんなにきれいな場所なんですね……!想像以上ですっ お家の案内含めて、ここに連れてきてくださりありがとうございます!」



ふりかえって、遥翔様にお礼を言う。

すると、遥翔様は一瞬驚いたように固まってから、フッと笑った。



「どういたしまして。」



そう言い、遥翔様は兎たちのいる方へ歩いていく。

しゃがんで兎を撫でながら、こちらに振り向き、



「弥夏。」

「はい、何でしょうかっ」

「事前資料、一回パラパラッと見たんだが、見た感じだとお前は__」



そう言いながら、撫でる手をやめ、パラパラと持っていた冊子をめくりだす。


もしかしてあれ、私の成績も乗っているやつなのでは……?

なぜ今、遥翔様が持っていらっしゃる……?


な、なんだろ……

とてつもなく嫌な予感がッ



「__弥夏は、成績がクッソ悪いそうだな?」

「ンゲホッ!ゴホッ!」



嫌な予感、的中!

クッソ悪いとはなんですか、クッソ悪いとは!!

というかなんで事前資料でそんなところまで見てるんですかっ!

学業レベルはたしかに大事かもしれないけどっ

一目見ただけで覚えられるくらい悪い成績ではないはずですよッ!!!た、たぶんっ!



「遥翔様、クッソ悪いと言われるほど悪くはないと思うのですが……」

「本当か?前の一学期期末テストの結果、」

「ん?んっ?んっ!?」



え、ちょ、待って待って!?

そんなところまで書いてるなんて聞いてない!!

でも、結果言おうとしてるってことはテスト結果が書いてあったってことだよね…

前回の期末テストだけは本当に悪かったのにぃっ!



「えぇー、国語43点。」



あ、国語はまだ高い方だ……っ

うぅ、でも次の教科の結果は言ってほしくないよぉ…



「数学………32点。」



うっ……欠点ぎりぎり教科来た……

しかも、点数言うまでちょっと時間空いてたんだけど…

それに、この先はもっと大変なことに……っ



「英語……3点!?」



うぐぅっ!

たしかにたしかにっ、それ見たら誰でも驚くかもしれないですけど!


驚かないでください!!

私のメンタルが、やられますッ!



「さっきも見たけど、何回見ても驚異的な数字だな…」



さ、さっきも見たんですか、それ!!

さっきも見てて、まだ驚かれるってわかると、

心に刺さるんだけどッ!



「歴史32、地理35、理科29……か__。 大丈夫なのか、これ?」



と、いかにも不安そうな目でこっちをみて聞いてくる。



「大丈夫では、ないです……」

「だよな。なら、今からオレの部屋でテストするか。」

「……え?」




―――――――――――――――




___となんやかんやあり、今遥翔様の部屋に居る。



この部屋に入る前、


「テスト…ですか?しかも遥翔様のお部屋で?そんなっ、そんな失礼なことできないです!しかも、わざわざテストなんてしてもらわなくても大丈夫ですよ!」


遥翔様のお部屋に入ることなんて絶対できないっ!

勉強したくないっていうのもちょっとあるけど……


「本当に大丈夫か?お前の成績が悪いと、専属として雇ったオレの評価がさがるんだけど。」

「あ、たしかに……」

「弥夏はオレが周りから悪く言われるのは嫌だよなっ?今からテストして勉強して、成績上げるよなっ?」


目の奥は笑っていないにっこにこの笑顔でそんなことを言われて、私が断れるはずもなく……


「はい……がんばります……」


と、力なく頷くことしかできなかった。




そして今、遥翔様の部屋で、机の前に座っている私の机を挟んだ目の前に遥翔様が座っている状態。


……すごく気まずい。

カタカタカタッ


遥翔様はさっきから、パソコンに打ち込んでいる。

たぶん、私がやるであろうテストの問題だよね…



「弥夏。今日は6時までに5教科終わらせる。問題数は1教科5問で、制限時間は5分だ。できるよな?」

「はいっ……」



できるよな?の圧が、圧がすごいっ……!

制限時間5分で問題数5問ならできる……はず!


遥翔様がコピーしてきた問題用紙解答用紙とシャーペン、消しゴムを私の前に置く。



「筆記用具はこれ使って。」

「ありがとうございます。」

「んじゃ、5分で。よーいスタート。」



よしっ、がんばるぞ…!

1問目は、「3+11」これは超簡単!
答えは14だ!

こんな簡単な問題……もしかして遥翔様私のこと舐めてる……?

2問目は「−4−11」これは……−15?

3問目、「−5×(−4)」えぇっと……−20かな…?

4問目、「−15+13」えー…、−2……?

5問目…「−5×8」たぶん−40かな…?

これで……、



「できましたっ」

「2分でできてる。順調だなっ」



2分でできたのっ?やった!



「じゃぁ次は国語。」



目の前に問題用紙解答用紙を置かれ、「よーいスタート」の合図でまた始める。


えぇと、最初は漢字の問題だ。

「雅楽」の読み方は、「ががく」

「偉人」の読み方は…「いじん」

「いげん」の書き方は……「威厳」だよね。

「はかい」の書き方は、破と…かいってどんなのだったっけ……

回、会、貝、界、階………やばいっ、わからない!


んー……適当に、「破階」って書いとくか…!

次の問題いこっ


「きょうふ」の書き方……「恐布」よし!



「できました!」

「うん。……ん”ッ?ま、まぁいいか…次は英語な。これで最後。がんばれ。」



なんか今、解答用紙見て大丈夫かコイツって感じの顔しました!?

やっぱりあの「はかい」の漢字が違うかったからですよね…!?(弥夏さん、「きょうふ」も違います。)


き、気にせず英語に取り掛かろう……っ

えーと、次の文を翻訳せよ…?


「My name is Mika.」

これはわかる…! 「私の名前はみかです。」だ!


次!

「I'm so sad.」

これは、「私は悲しいです」かな?

あ、でもsoがついてるから……

「私はとても悲しいです」か!

危ない危ないっ


次は……

「Are you hungry?」

えぇと、「お腹がすきました」…かなっ?

youが入ってるから「あなたはお腹がすきました」だ!

ハングリーってお腹が空いた、だよねっ


「This moon is beautiful.」

えぇ……、この月は……ベアウチフル……?

な、なんだろ、ベアウチフルって……

んー……とりあえず、「この月はベアウチフル(?)」って書いておこう…うん……


次の問題は…、次の英文に答えよ(英文で)

問題文は「What subject do you like ? 」

すぶじぇくと…? すぶじぇくとって、___なんだっけ…

思い出せ、思い出せ私っ!

の、残り時間は、10秒!?

どーしよどーしよっ、白紙はダメだから何か書いとかないとっ

とりあえず…


「Yes」

絶対答え違うけど、空白よりはマシだよね……っ!

___結構できなかった気がするけど、大丈夫かなぁ…



ピピピッピピピッ

「はい、終了。おつかれさま。採点するから待ってて。」

「わかりました。」



5分を知らせるタイマーが鳴り、遥翔様が採点をし始めた。

___まる、まる、ぴん、ぴん、ぴん


あれっ、3番合ってると思ってたけど間違ってる…

ってことは……、

数学と国語も、あって合ってると思ってたけど間違ってた……

なんてことがあるかもってことだよねっ?!

うわぁ……これから毎日勉強三昧なんてことになりませんようにっ___。