放課後、生徒会室の前で私は深呼吸をする。髪もさっきといたし、メイク直しもバッチリだ。もう一度深呼吸して、緊張を抑える。……よし!
「し、失礼します!生徒会の新メンバーに任命された上原というものですが……ぇ」
目の前の光景を見て、私は目を見開いた。思っていた100倍、イケメンだったのだ。生徒会長だと思われる長い鳩羽色の髪のイケメン、何故かゲームを片手に持っている白髪イケメン。そして──
「うげ」
私は思わず顔を顰めた。そこには、今朝の爆笑イケメンと、隣の席のゲコゲコイケメンがいたのだ。
なんでいるのよ。
「ああ、君が編入生の上原さんか。生徒会の早瀬天人|《あまと》だ。仕事は、副会長に教わってくれ。」
ギャーーーーーーっと今すぐ叫びたい。イケメン!まさに私の理想!私はこの人と出会うためにここに来た!
「はぁい!」
ルンルン気分で返事をすると、副会長らしい人が私に挨拶してきた。 ……ゲームをしながら。
「こんにちはー!僕が生徒会副会長の早瀬海瑠だよ!よろしくね〜!あっやばいコイツ強いな……」
いやゲームやめろよ!と思ったけど、私は可愛い後輩でいたいので、ぐっとこらえる。
「よろしくお願いします!」
にっこりと笑いかけると、副会長も笑顔を返してくれた。
ん?会長と副会長、苗字同じ……?兄弟とかかな。
私が色々考えていると、頭のてっぺんがぐりぐり押されて痛くなった。
「いだっ!何するの!?」
「あんた今朝の子やないか!編入生やったんやね、もう少女マンガの主人公機取りはやめたんか?」
笑いながら私のつむじを押すこいつは、今朝の爆笑イケメンだ。くっそ、こんな所で会うなんて。二度と会いたくなかった。
睨むとまたつむじを押される。
「痛いって!暴力反対!下痢ツボ押すな!明日トイレに籠らないといけなくなったらアンタのせいだからね!」
「なんや、そんな強く押してへんで〜」
ヘラヘラ笑う爆笑イケメンを睨んでいると、ゲコゲコイケメンと目が合った。そして、『うげっ』って顔をされる。腹立つな、顔がもったいない。
「えー知り合いなのー?じゃあ仕事の説明は関野がやってよ〜」
副会長はゲームをしながら爆笑イケメンに仕事を押付けた。
「いや、知り合いじゃないです!名前知らないし!」
と私が反対すると、副会長は爆笑イケメンの肩に腕を回して
「この子は2年の関野春希!生徒会の会計係だよ!僕の可愛い後輩なんだ〜、じゃ、関野あとはよろしくね!」
副会長はゲームをしながら副会長の席に着いた。後輩に仕事押し付けるなよ。ゲーム副会長って呼ぼうかな。
「えー説明めんどうやな。蓮代わりにやってくれん?」
あんたも押し付けんのかよ!私が邪魔者みたいじゃんか。
「パス。なんで俺がこんなやつの」
ハッと鼻で笑うゲコゲコイケメン。
「あ、そういや蓮のことお前さんは知らんのか。こいつは望月蓮。俺の幼馴染や!根はいい奴なんやで!んじゃ、説明よろしくな〜」
爆笑イケメンはそう言って自席に戻って行った。
ここの生徒会マジで終わってんな。マトモなの生徒会長くらいじゃん。
「なんで俺が……はあ、着いてこい」
