3日後、私達は亜人同盟の会合場所に到着した。馬での移動は疲労したが、ヴィシャスやガルフ達の軽口もあり道中退屈することはなかった。
場所は猟師も寄り付かない森の奥、普通の人間には見つからないよう隠れた小屋にある。小屋の周りには各亜人組織の旗が風に揺れていた。
主要な各組織とそのリーダーについてはラビィルさんから教えてもらっている。
獣人のみで構成された『鉄獣武闘団』の牙紋章旗、ダークエルフが中心の『紫黒防人』の杖模様旗、人間も亜人も混在した『翠牙』の葉マーク旗。
他の小組織の旗も混じり、連合が結成される気配をひしひしと感じさせる。守衛として警戒網を布いている亜人の一人が私達を一瞥した。
「どこの手の者だ」
「『赤竜の覇団』だ。招待に応じてきたぜ」
前に進み出たヴィシャスが名乗り、懐から届いていた書状を見せつける。守衛同士頷くと無言で引き下がった。通る許可は降りたようだ。
ヴィシャスを先頭に私達は小屋の中に入る。狭そうな小屋だけど本当に各組織の人員が集まれるのかな?大分狭そうだけれど。
しかし、そんな心配は杞憂だった。小屋はあくまで見せかけのものだったようである。地下に続く通路があり、会合は地下空間で行われるようだった。
「!」
地下に降りるとそこは思っていた以上に大きな空間のようだ、小屋の面積よりも地下の方が広いと思われる。内部は岩壁で覆われた洞窟になっており先に進むこととなった。
通路沿いには亜人組織の部下と思しき人達が待機しておりジロジロとこちらに視線を送ってきていることを感じた。内心の動揺を悟られないようにしつつもヴィシャスの広い背中に隠れるように移動する。会合場のある奥へ進むにつれ、空気が重くなっていった。
「止まれ、ここから先は代表者だけが進め。……魔痕の女だけは一緒に行け」
奥に行こうとすると途中で呼び止められた。どうやら中に入ることができるのは私とヴィシャスだけのようだ。
「おいおい。口の利き方に気をつけろよ。オレの女を、オレ達を軽く扱うじゃねぇ」
横柄な態度の門番にヴィシャスが睨みを利かせる。
「……失礼した。『赤竜の覇団』頭領ヴィシャス殿、並びに奥方様のみお進みください」
気持ちはこもっていなかったが門番が言い直す。
ヴィシャスはふん、と鼻を鳴らし、ずかずかと大股で歩き出す。別に奥方じゃないです、と話の腰が折れそうだったので言わなかったが人からそう思われていると思うと何とも居心地が悪かった。
「姐さん、アニキ、ここからが本番っすよ。鉄獣の連中、ヤバいって噂っすから気をつけてくだせえ」
私も後をついて行こうとしたらガルフが耳を伏せて小声で言ってきた。ヴィシャスは一度だけ振り返り肩をすくめると牙を見せ笑う。
「オレの方がヤベぇさ!」
それは安心材料になるのかなぁ?
私は不安を押し隠し、ヴィシャスの腕に軽く触れる。
「……無茶はしないでね」
それだけ言った。
「おう!」
私の不安は貴方が何をするかわからないという部分もあるのだが、たぶん分かっていない。
言い終わるともう振り返ることなく進み出す。私もまた警戒は引き締めつつも後に続く。
会合場は小屋の地下空間のの最奥、円形の石舞台だった。
中央に巨大な石卓があり、各組織の席が配置されている。既に他の代表たちが着席し、鋭い視線が私たちを刺した。
場所は猟師も寄り付かない森の奥、普通の人間には見つからないよう隠れた小屋にある。小屋の周りには各亜人組織の旗が風に揺れていた。
主要な各組織とそのリーダーについてはラビィルさんから教えてもらっている。
獣人のみで構成された『鉄獣武闘団』の牙紋章旗、ダークエルフが中心の『紫黒防人』の杖模様旗、人間も亜人も混在した『翠牙』の葉マーク旗。
他の小組織の旗も混じり、連合が結成される気配をひしひしと感じさせる。守衛として警戒網を布いている亜人の一人が私達を一瞥した。
「どこの手の者だ」
「『赤竜の覇団』だ。招待に応じてきたぜ」
前に進み出たヴィシャスが名乗り、懐から届いていた書状を見せつける。守衛同士頷くと無言で引き下がった。通る許可は降りたようだ。
ヴィシャスを先頭に私達は小屋の中に入る。狭そうな小屋だけど本当に各組織の人員が集まれるのかな?大分狭そうだけれど。
しかし、そんな心配は杞憂だった。小屋はあくまで見せかけのものだったようである。地下に続く通路があり、会合は地下空間で行われるようだった。
「!」
地下に降りるとそこは思っていた以上に大きな空間のようだ、小屋の面積よりも地下の方が広いと思われる。内部は岩壁で覆われた洞窟になっており先に進むこととなった。
通路沿いには亜人組織の部下と思しき人達が待機しておりジロジロとこちらに視線を送ってきていることを感じた。内心の動揺を悟られないようにしつつもヴィシャスの広い背中に隠れるように移動する。会合場のある奥へ進むにつれ、空気が重くなっていった。
「止まれ、ここから先は代表者だけが進め。……魔痕の女だけは一緒に行け」
奥に行こうとすると途中で呼び止められた。どうやら中に入ることができるのは私とヴィシャスだけのようだ。
「おいおい。口の利き方に気をつけろよ。オレの女を、オレ達を軽く扱うじゃねぇ」
横柄な態度の門番にヴィシャスが睨みを利かせる。
「……失礼した。『赤竜の覇団』頭領ヴィシャス殿、並びに奥方様のみお進みください」
気持ちはこもっていなかったが門番が言い直す。
ヴィシャスはふん、と鼻を鳴らし、ずかずかと大股で歩き出す。別に奥方じゃないです、と話の腰が折れそうだったので言わなかったが人からそう思われていると思うと何とも居心地が悪かった。
「姐さん、アニキ、ここからが本番っすよ。鉄獣の連中、ヤバいって噂っすから気をつけてくだせえ」
私も後をついて行こうとしたらガルフが耳を伏せて小声で言ってきた。ヴィシャスは一度だけ振り返り肩をすくめると牙を見せ笑う。
「オレの方がヤベぇさ!」
それは安心材料になるのかなぁ?
私は不安を押し隠し、ヴィシャスの腕に軽く触れる。
「……無茶はしないでね」
それだけ言った。
「おう!」
私の不安は貴方が何をするかわからないという部分もあるのだが、たぶん分かっていない。
言い終わるともう振り返ることなく進み出す。私もまた警戒は引き締めつつも後に続く。
会合場は小屋の地下空間のの最奥、円形の石舞台だった。
中央に巨大な石卓があり、各組織の席が配置されている。既に他の代表たちが着席し、鋭い視線が私たちを刺した。
