ヴェルゼリア・コンスタンサの処刑執行日は3日後に決定となった。

 哀れな女である。いや忌み嫌われ者の末路としてはよく生きた方だろう。

 彼女は17年前、ガルヴェントス帝国の辺境を治める地方領主コンスタンサ家長女としてこの世に生を受ける。貴族に生まれただけで勝ち組人生を歩むことが約束され順風満帆、幸せに暮らしました。とはならなかった。

 彼女はその身体の胸元には凶兆とも不吉の証とも呼ばれる紋様、魔痕を宿して生まれたからである。

 当然、魔痕を持つ彼女は生まれてから忌み嫌われ、即刻殺処分する案もあったらしい。しかし、母親が彼女を庇い父親である領主に助命を嘆願した結果、何とか命を繋ぎ17年間生きることができた。

 それも母親が亡くなるまでの話だ。不吉な娘を庇う唯一の存在を失いヴェルゼリア・コンスタンサはこれ幸いと処刑されることになった。厄介者を処分できて、めでたしめでたし。コンスタンサ家の将来は安泰である。



 などと他人事みたいに語ったがヴェルゼリア・コンスタンサとは私である。
 つまり、私は3日後に処刑されることになっていた。