だと言うのに、かなり踏み込んだところまでいった縁談になってしまっていることは、間違いないもの。

 私との結婚はマチルダ様から逃げ切るだけのためだとしたら嫌だから……ここは私としては、きっちりと確認しておきたい。

「いやいや、誰でも良い訳ではない……誰でも良い訳ではないが、これまで俺は結婚する女性を探し求めていたことは確かだ。そして、シャーロットの所に最終的に辿り付いた。それだけのことだと思う」

 私はハビエル様の目を見た。私を見つめるキリッとした青い眼差しに、嘘はないように思える。

 続けてカツカツと音をさせて、私は石板に文字を書いた。

『私のこと好きですか?』

 これも、聞きたかった。今までがもし、マチルダ様から逃げ切るための演技だったとしたら……それなら、私のことなんて好きでなくても良いし。

 この人の演技がとても上手いことは、私だって良くわかったから。

 ハビエル様は真顔になった後、目の前に居た私を抱きしめた。