何でも持つ男性ハビエル・クラレット様なら、彼の望みうる最高の妻を迎えるはずだわ。それは、子どもでも理解することの出来る、簡単な道筋。

「……ええ。彼ならば正直なところ、私たちみたいな伯爵令嬢などより王家の姫や公爵令嬢でも妻にと望めるお方だし、全く望みがないならば、逆にシャーロットも気軽に話せるのではないかしら?

「……逆に?」

 これは良いことを思いついた思ったのか、イザベラは可愛らしい顔でにっこりと微笑んだ。

「そうよ! シャーロットが異性と話すことに緊張してしまっているというのは、もしかしたら……自分と恋人になれるかもと、そう思っているからでしょう?」

「え……? ええ。そうね」

「使用人では、そういう対象になり得ないのだから、会話の練習をすることには何の意味もないわ。けれど、恋愛に発展するかもしれないという望みもなく、ただ仕事でその場にいらっしゃる男性と話す練習をすることは、別に許されると思うもの……喋る石像と思えば、それで良いのよ」

 ……喋る石像……!!

 そうね。美々しいハビエル様は、彫像として形作られていてもおかしくないわ。