望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから

「あのっ……あの(そうなんです……ありがとうございます)私……その……」

 私はまた言葉に詰まってしまって何も言えなくなり、湧き上がった気持ちが、しおしおと萎んでしまうような気がした。

 なんだか、いけそうな気がしただけだった……そうなのよ。強い気持ちでなんとかなるものならば、もうなんとかなっていると思うもの。

 言いたいことも言えないなんて……情けなさ過ぎる。

「シャーロット。俺はそのままの君で、良いと言っただろう? 別に落ち込まなくて良いんだ。同性と話すことが出来るのなら、いつか俺とも普通に話せるようになるだろう」

 その時に見えたハビエル様の顔は、私が今までずっと致命的な欠点だと思っていたことを、全く気にしてないよって優しい顔。

「え……すき……」

 私はすんなり口から出てしまった自分の気持ちに驚いて、両手でバッと口をおさえた。

 えええええ……今、私、流れるように告白しなかった? ついつい、好きって言ってしまわなかった?

 や、やだ。恥ずかしいー!! 普通の人はこっちの方が、言えないはずなのにー!!!

「……シャーロット」