「聞いただろう? どうしてもと頼み込んで紹介された縁談相手が、急に体調が悪くなる……領地へと静養に行く……まあ、普通に考えて、何者かに邪魔をされている。つまりは、権力を持つ地位の高い誰かに脅されている。しかし、僕が思うにハビエル本人がその場にいれば、相手は何も出来ない。何故かというと……彼には絶対に、嫌われたくないからだ」

「そっ……それは、そうかもしれないわ」

 エリアスの言葉を聞いて、私だってそれはそうだわと頷いた。ハビエル様と結婚したいのに、自分からは言い出さない……つまりは、断られることを極度に恐れているということだ。

「だとすると、ハビエルの住む邸が一番に安全地帯だ。何故かというと、シャーロットに、何かをする隙間がない。誰かが来れば、すぐに彼に報告がいくだろうし、騎士団長なので不在時には信用出来る部下に邸を見張らせることも出来る。仕事の時間以外は、彼本人が邸に居る」

「……エリアスは、私がハビエル様の邸に、居る方が良いと?」