そして、颯爽と部屋から、出て行った。

 私が手の甲を見つめ名残を惜しんでいると、遠慮のない声が聞こえた。

「……いや、本当に面白い男だ。恋愛事には鈍感が過ぎるが、流石は騎士団長を任されるだけあって有能そうだ。僕はハビエルが好きだよ。シャーロットが結婚したら、親戚になるし、彼と早く結婚してくれよ」

「エリアス! それに、私をハビエル様の邸に滞在させるなど……婚約だって、まだなのよ?」

 婚約者として貴族新聞に載り一年間の公示期間などは、男性の邸へと住み花嫁修業をすることは多い。

 けれど、私たちは、会って、まだ二日目なのだ。

「シャーロットはハビエルの話を聞いて、何も思わなかったのか?」

「……え?」

 その時のエリアスは、真剣な眼差しで私を見つめていた。