「ああ……そうだったのか。昨日からずっと手紙を待って居たのだが、何かあったのかもしれないと居ても立っても居られず。俺と縁談があった女性は何故か、体調が悪くなったり……領地に静養に行くことになったりするんだ。だから、シャーロットももしかしたら、そうなってしまうのではないかと……気が急いてしまって……」

 まるでハビエル様に触れば呪われてしまうような世にも恐ろしい話を聞きながら、私は笑顔が引き攣ってしまった。

 ……それって!! それって!! マチルダ様が、背後から手を回していない!?

 やめてー!!! 怖すぎるんだけど!!

「……なるほど」

 エリアスは隣に居る私の涙目を見て、笑いを堪えているようだった。

「こうして、元気な顔が見られて良かった。アヴェルラーク伯は外交で居ないことは聞いているんだが、夫人は居られるだろうか。出来れば、シャーロットは早急に俺の邸へと居を移して欲しいという話をしたいんだが……」

「えっ……!!」

 喉を痛めている設定の私は、思わず声をあげてしまったけれど、隣のエリアスはにっこりと微笑み、目の前にある来客用のふかふかのソファを指さした。