「……こんにちは。クラレット卿。以前に挨拶だけさせていただいたことがありますが、改めて。僕はエリアス・バダンテール。シャーロットの従兄弟です。彼女は喉を痛めてしまったので、僕が代わりに応対を」

 突然の訪問に慌てふためいた私は、とりあえずすぐそこに居たエリアスに助けを求めた。

 『貸し一個だぞ』と高利貸しのような酷薄な表情で言われても、ここをどうにか切り抜けるためには、彼の力が必須なのだから、どうこう言っている場合でもなかった。

 黒髪青目で整った顔を持つハビエル様は昼日中の中で見ても、非常に美形で……私は、思わず小さくため息をついてしまった。これは、王族マチルダ様が『誰にも渡したくない』と思ってしまうのも、無理はないわ。