距離を空けつつ涼しい顔で肩を竦めたエリアスの意見を聞いて、イラッとしていた私本人も、それはもっともな意見かもと思ってしまった。

 どうしても意志を伝えなければいけない時は、文字で書いても良いのかもしれない。

 ハビエル様から来た手紙は一通しかまだ読んでいないものの、おそらくは他のものも私の両親への挨拶の打診だと思う。

 だから、今父親は不在だし、母親は一人で伯爵邸を切り盛りしている。今は私も体調が悪く大変だから、また日取りについては相談させて欲しいということを手早くしたためた。

 すぐに執事へと手紙を届けさせると、はーっと大きく息をついた。時計を見れば、余裕のある時間に間に合ったわ。

 なんだか、信じられないけれど……私、ハビエル様と初めて話して二日目の朝なのだけど、結婚についての具体的な話が進んでいるわ。

 夜会に貴族令嬢たちが集う理由は、それは素敵な男性に求婚されて結婚へと進みたいから。ハビエル・クラレット様に関しては、文句を言うところが見つからないくらいに素敵な男性。