望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから

「いや、待て待て。シャーロット。いくら、マチルダ様だって、何もしていない無実の貴族令嬢を、すぐに殺すのは無理だって……なんかしら、罪を着せられて、処刑台に送られることはあるかもしれないけど……」

「そんなの、いやー!!!」

 私は涙目で、枕をエリアスにぶつけた。

「待て待て待て! ……悪かったって。揶揄っただけだって。何だよ。マチルダ王女の圧力と監視の目をくぐり抜けて、自分に話し掛けてきたシャーロットのことをクラレットが気に入ったってたけか。別によくね。クラレットが気に入ったのは、シャーロットなんだし」

「いやなの! いやなのー!!! どうしよう……こんなことになるなんて、本当に思ってなかったの!」

 私は頭を抱えるとベッドに座ったエリアスはポンポンと、背中を叩いた。

「おいおい。シャーロット。ハビエル・クラレットはこの国の貴族で一番権力を持つクラレット公爵家の三男かつ、騎士団長だぞ。容姿も良いじゃないか。そんな男に求婚されて、何を嫌がることがある。この国の貴族令嬢の夢を、お前は叶えたんだぞ」

「命の危険付きなのよ!!」