皆、末姫マチルダ様が従兄に当たるハビエル様を、自分の結婚相手にと狙っていることを知っていたんだー!!

 ……嘘でしょう。

 私、あんな強そうな王家の姫に睨まれたら、なんの抵抗も出来ずに石化するしかないです。

 そして……ハビエル様、もしかして、こんなに分かりやすい、マチルダ様の激しい好意に気がついてないの?!

 確かに、私とのこれまでの流れから考えると、ハビエル様、女性の気持ちを察するってことなんて全く出来なくて、とても鈍感そう。

 ……え、私と夜を過ごそうと誘われたと誤解して、声を掛けてくれて嬉しいとばかりに、結婚まで決めてしまうつもりなの?

 話が早過ぎる展開に、この場で目を白黒させていなかったのは、ハビエル様本人おひとりだと思う。

「俺はこの可愛らしい令嬢を逃せば、一生結婚出来ないと思う。だから、俺は彼女と結婚することにする。もう決めた」

「……待ちなさい。ハビエル。あまりにも短絡的な考えだわ」

 ええ。王妃様、その通りだと思います……!

「そうよ! お兄様……その子は一体、誰なの?」