美しい可愛らしいと、ダンス中にあんなにも褒めてくれたのに、私は恥ずかしくて何も言えなくて……顔を俯かせて懸命に頷くだけだった。

 褒めてくれているのに、無言のままで踊り続ける私に、あの人はきっと愛想をつかしたのだわ。

 ……はああ……また、駄目だった。

 デビューしたばかりとは言え、声を掛けて貰ったのは彼で五人目。

 社交が仕事の貴族たちには私がデビューしたばかりだと一目でわかってしまうのか、踊らないかと声は掛けて貰えるものの、その後会話が弾まないのでまったく実を結ばない。

 確かに口下手だけど……異性と話す回数を重ねれば、だんだんと慣れていくものだとなんとなく思って居たけど……それって、本当に?

 もしかして、私って一生、異性とまともに話すことが出来ないままで……生きていくのではないの?

「シャーロット! 先ほど踊っていたのは、人気のクラーク卿でしょう? もしかして、次の約束でも取り付けたの?」

 快活な性格のイザベラは楽しそうに肩を叩き、絶望の渦に飲まれ泣きそうだった私の顔を覗き込むと、しまったと言わんばかりの表情でばつが悪そうに眉を下げた。