そこにあったのは、先程まで私が思い描いていた光景とは、全く違っていた。見るからに身分の高い数人が集まり、手にグラスを持ちながら何かを話していたようだった。

 え……嘘でしょう。そちらにいらっしゃるのは、国王陛下でない?

 私は部屋の中に誰が居るかを悟り、気が遠くなりそうだった。

 王家の面々と、先の王弟であるクラレット公爵夫妻が歓談中だったのか、いきなり扉を開いて入って来た私たち二人にいっせいに注目していた。

 さっき大広間に居た王族たちが集まり……そんな中で、ハビエル・クラレット騎士団長に横抱きにされて現れた私……皆、どんな風に思ってるの。

「決めました! 俺はこの子と、結婚することにします」

 堂々と宣言したハビエル様に、部屋の中の面々は彼の腕の中にある私と同じように非常に驚いていた。

 なっ……なんて、言いました? 結婚? するの? 私が? ハビエル・クラレット団長と……?

 どういうこと……嘘でしょう?