待って……私、私……このままだと、休憩室のベッドの上へと直行……そのまま、処女を捧げることにならなりますよね?!

 うっ、嘘でしょう……!!

 ただ私は苦手な異性との会話の練習を、しようと思っただけなのよ?!

 必死な心の叫びなどもどこへやら、ハビエル様は長い足の歩みを緩めることなく、軽い足取りで階段を上がり、私はいよいよ彼に何か言わなければと非常に焦っていた。

 しかし、そんな時に何か言葉が出せるようなら、こんなにも苦労してないですー!!

 いけない……このままだと、人気の騎士団長様と一夜の恋の遊び相手で終わってしまう……!

 その後、ふしだらな女だと後ろ指を刺されて、誰からも求婚されないなんて……絶対に嫌……!

 喋って説明できないのなら、もうここは取り返しのつかないことになる前に舌を噛むしかないわ……私は覚悟を決めて、瞼を閉じた。

 ……お父様お母様、ごめんなさい。娘の死因は異性に対し口下手が過ぎたせいという、非常に情けない理由になってしまって、本当にごめんなさい。

 そんなこんなで、ガチャリと蝶番の音がして、私はいよいよだと覚悟を決め閉じていた目を開いた。

 ……ら、びっくりし過ぎて声が出なかった。