望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから

 言えた! 言えたわ。少しの時間待って貰って落ち着いたら、そういう訳ではないって、誤解している様子の彼に説明が出来るはずよ!

 社交界デビューしたてなのに、ハビエル様のような、大人気の騎士様と一夜を過ごしましたなんで、絶対良くないでしょう……!!

「……ああ。すまなかった。もしかして、歩く速度が速かったか?」

 ハビエル様は私の呼びかけに応え歩くペースを緩めてくれて、顔を覗きこまれたけど、私はそんな彼に恥ずかしくなって顔を熱くして、無言になるしかない……!

「あのっ……っ」

 近付いた時に感じた良い匂いと、近づき過ぎてもまったく支障のない整った顔に動揺して、何も言えないー!!

 ちゃんと、彼に全部誤解ですって、説明すべきなのに!

「ん? ああ……ちゃん理解している。とりあえず、今から俺のすべきことは」

 すっ……するべきこと?! 待って……!! 待って、絶対誤解してますよね?!

「私っ……ハビエル様……(そうではなくて、誤解があるようだから)っ……待ってください」