ハビエル様と同じ邸で共に暮らし始めて二週間ほどが経過したけれど、彼は聞けば全員が驚くほどにとても紳士的な騎士団長様だった。

 隣の部屋の寝室を用意されているけれど、夫婦用であろう鍵の付いていない扉は全く使用されることはない。

 そして、私が最近知った新事実なのだけど、マチルダ様のことがあって、ハビエル様はこれまでにかなり無理をして邸へと戻って来ていたようだった。

 何故かというと、自分が邸に居ると私の危険が激減するので、なるべく早く帰って来ていたのだけれど、そのツケが溜まってしまい、今はお城に詰めて溜まっている仕事を片付けていた。

 深夜に帰って来て早朝に出て行ってしまうので、あまり顔を合わせられていない。

 もうすぐ彼と結婚するのだなとは思うけれど、いまいち実感が薄く、そもそもちゃんと話せていないのに……夫婦生活なんて大丈夫だろうかと、私は考えてしまっていた。

 だって、夫婦の語らいをする時にも、今のままでは不便過ぎる。それに、私は別に話せないわけではなくて、おそらくは精神的な部分で男性に負けたくないと思ってしまっているからだった。