「マチルダ様にとっても、これで良かったのではないかしら。だって、こんなにもあからさまに好意を示していると言うのに、ずっと知らない振りされているっていうことは……ハビエル様はとっても素敵な男性だと思うけれど、好きになってくれない男性に時間を使うなんて、こう言ってはなんだけど人生の無駄遣いだもの」

 イザベラはお茶を飲みながら、あっけらかんとして言った。私はそれには何も言えずに、ただ苦笑いするしかない。

 マチルダ様はあまりに長い間ハビエル様に執着し続けていて、もう引くに引けない状態になっていたことは間違いなく、私との勝負はそんな彼女の諦められなかった気持ちを解放する手助けが出来たのかもしれない。

 イザベラの言う通り、好きになってくれる見込みのない男性よりも、自分の理想通りに愛してくれる男性を探した方が幸せになれる効率は良いと思う。

 人の気持ちは、効率で割りきれないとはわかっているけれど。

 王太子であられるヒューバード様は妹マチルダ様へ、今後一切のハビエル様と私の二人への手出しを禁じた。