全員にとって、良い道を選ぶためにはこうするしかない。

「しかし、勝負の方法が剣だなんて……シャーロットは、大丈夫なのか?」

 そういえば、ハビエル様には私が剣を扱えることを、まだ言っていなかったかもしれない。

 何も出来ない、守られるべき貴族令嬢だと、思われていたのかもしれない……周囲からそう見えるように、私自身がそう振る舞っていたのだけれど。

『私は王妃様直属である女騎士団の前団長アデル・アヴェルラークの娘です。後継となる弟が望めないとわかるまで、私は母のような女騎士になるつもりでした』

 私が十になる年齢で、おそらくはそうだろうと医師から診断が下された。だから、私は女騎士になることを諦めて、普通の貴族令嬢として……育てられることとなったのだ。

「あ。アデル殿の……そうだったのか。シャーロットは、彼女の娘だったんだな」

 ご自身も騎士であるハビエル様も、私の母の名を知っていたらしい。けれど、母がアヴェルラーク伯爵家に嫁いだことなど、そういう事情はこれまで知らなかったようだ。

『ご心配なさらないでください。私は剣術では、良く褒められておりましたから』