ちびっこ息子と俺様社長パパは最愛ママを手放さない

 仕事以外で関わらないようにしているのは、副社長に迷惑をかけたくないからでもあるのだ。私のような女性とふたりでいて、周囲に変な誤解をされたら困るから。
 でも、それを口にすると切なくなるだけなので、「なんでもないです」と濁した。
 自分のお見合い話も相まって俯き気味になっていると、彼は心配そうに私の顔を覗き込んでくる。

「やっぱりいつもと様子が違うな。なにかあったんだろう。話してみろ」

 その優しさがじんと胸に沁みる。
 仕事の面では自信家でぐいぐい引っ張っていく印象が強いけれど、こういう優しい部分がかいま見える瞬間もたくさんある。
 ただの秘書である私にも手を差し伸べてくれるだけで嬉しくて、自然に口元がほころんだ。

「気遣ってくださってありがとうございます。でも、副社長にご相談するような内容ではないので」

 地元の人とお見合い話が持ち上がって嫌がっている、なんて話をしても困らせてしまうだけだろう。
 苦笑混じりにやんわり断るも、彼はじっとこちらを見つめたままだ。

「……君の目に俺はどう映ってる?」

 突拍子もない問いかけに、私はきょとんとして「え?」と首を傾げた。