私の出身は、九州の端にあるエメラルドグリーンの海と白い砂浜がとても美しい離島だ。島民は三千人ほどしかいない小さな島で、リゾート地というほど有名ではないものの、景観のよさから旅行で訪れる人も結構いる。
旅行者は『とても素敵なところだ』と声をそろえる、確かに綺麗な場所なのだが、私は学生の頃から早く出たくて仕方なかった。
あの島は〝美しい監獄〟なのだ。
その説明をしようと思った時、奈宮さんのスマホが短く振動した。彼女はテーブルに置いていたそれを確認して、ぴくりと眉を上げる。
「あら、旦那から呼び出し。【冬なのにゴキちゃん出てきたから帰ってきて】……って乙女か!」
「仲よしですねぇ」
奈宮さん夫妻に子供はおらず、ふたりの生活をのんびり満喫している。奈宮さんのほうが姉御肌のようで、旦那様のかわいいエピソードを聞くのもおもしろいのだ。
しかし、彼女は不満げに口を尖らせる。
「えー、話はこれからなのに」
「今聞いてもらっただけでも、ちょっとすっきりしましたよ。旦那様を助けてあげてください」
「旦那より紗雪ちゃんを助けてあげたいんだけどな」
嬉しい言葉をもらって笑みがこぼれるも、私は大丈夫だからと押し切った。
奈宮さんは申し訳なさそうにしながら、お金を置いて腰を上げる。
旅行者は『とても素敵なところだ』と声をそろえる、確かに綺麗な場所なのだが、私は学生の頃から早く出たくて仕方なかった。
あの島は〝美しい監獄〟なのだ。
その説明をしようと思った時、奈宮さんのスマホが短く振動した。彼女はテーブルに置いていたそれを確認して、ぴくりと眉を上げる。
「あら、旦那から呼び出し。【冬なのにゴキちゃん出てきたから帰ってきて】……って乙女か!」
「仲よしですねぇ」
奈宮さん夫妻に子供はおらず、ふたりの生活をのんびり満喫している。奈宮さんのほうが姉御肌のようで、旦那様のかわいいエピソードを聞くのもおもしろいのだ。
しかし、彼女は不満げに口を尖らせる。
「えー、話はこれからなのに」
「今聞いてもらっただけでも、ちょっとすっきりしましたよ。旦那様を助けてあげてください」
「旦那より紗雪ちゃんを助けてあげたいんだけどな」
嬉しい言葉をもらって笑みがこぼれるも、私は大丈夫だからと押し切った。
奈宮さんは申し訳なさそうにしながら、お金を置いて腰を上げる。



