「いつの話をしてる。そのお嬢様とは一年以上前に破談になったぞ」
「はだ……っ、えぇっ!?」
噓。破談になっていたなんて知らなかった……しかも一年も前に。
さっきから驚愕してばかりだけれど、それもいまひとつ信じがたい。情報通の秘書課メンバーも知らなかったのだし、なによりつい先日も目撃したのだから。
「失礼ですが、本当ですか? 私、この間お見かけしましたよ。おふたりでホテルから出てくるところを」
猜疑心たっぷりに聞き返し、さらに少しの嫉妬も交えて口を尖らせた。
ふたりが出てきたのは、決していかがわしくはない高級ホテルだったのだが、そんな場面を見たら親密な関係だと思ってしまう。
副社長は目線を宙にさ迷わせるも、すぐに思い当たったらしい。
「ああ、それはたぶん交流会の後だ。仕事は関係なく呼ばれていた集まりだから君には言っていなかったが、そこに睦親子も参加していて、社長に『娘と一緒に帰ってやってくれ』と頼まれたんだよ。彼らはまだ俺との縁談を諦めていないらしくて、お膳立てされる時があるから困る」
彼はそう言って、面倒くさそうなため息を漏らした。
「はだ……っ、えぇっ!?」
噓。破談になっていたなんて知らなかった……しかも一年も前に。
さっきから驚愕してばかりだけれど、それもいまひとつ信じがたい。情報通の秘書課メンバーも知らなかったのだし、なによりつい先日も目撃したのだから。
「失礼ですが、本当ですか? 私、この間お見かけしましたよ。おふたりでホテルから出てくるところを」
猜疑心たっぷりに聞き返し、さらに少しの嫉妬も交えて口を尖らせた。
ふたりが出てきたのは、決していかがわしくはない高級ホテルだったのだが、そんな場面を見たら親密な関係だと思ってしまう。
副社長は目線を宙にさ迷わせるも、すぐに思い当たったらしい。
「ああ、それはたぶん交流会の後だ。仕事は関係なく呼ばれていた集まりだから君には言っていなかったが、そこに睦親子も参加していて、社長に『娘と一緒に帰ってやってくれ』と頼まれたんだよ。彼らはまだ俺との縁談を諦めていないらしくて、お膳立てされる時があるから困る」
彼はそう言って、面倒くさそうなため息を漏らした。



