真顔で隣を向くと、色気のある瞳でこちらを見つめる副社長がいる。
「地元の人間が嫌なら、俺にしておけ。牧原」
──〝俺にしておけ〟?
え、今のは私の妄想? それとも空耳? 副社長が私にそんな口説き文句を言うはずがない。
信じられずただただぽかんとして固まっていると、彼は頼もしい笑みを浮かべる。
「町長の息子より、俺のほうが君を幸せにできると断言する。目ぼしい相手がいないなら、俺のところに来い」
もう一度甘い言葉が放たれ、今度こそ現実だと確信した私は、これでもかと目を見開いた。
思わず「んなっ!?」と叫んで身を引き、カウンターに肘をつく。ガタッ!という音で、バーメイドさんや他のお客様が驚いてこちらを振り向いたけれど、私は動揺しすぎてそれどころじゃない。
「な、な、なにをおっしゃって……副社長、本当はお酒強くないのでは!? この一杯で酔ってしまわれたんじゃ……!」
「あいにく強いぞ。マティーニは序の口だ」
「はっ! そ、そうだ、私が酔っているんですね! 私もそこそこ強いはずなのに、おかしいな」
「安心しろ。君も俺も正常だよ」
あたふたする私を珍しそうに見て、彼はぷっと噴き出した。私にとっては異常事態なんですが!
「地元の人間が嫌なら、俺にしておけ。牧原」
──〝俺にしておけ〟?
え、今のは私の妄想? それとも空耳? 副社長が私にそんな口説き文句を言うはずがない。
信じられずただただぽかんとして固まっていると、彼は頼もしい笑みを浮かべる。
「町長の息子より、俺のほうが君を幸せにできると断言する。目ぼしい相手がいないなら、俺のところに来い」
もう一度甘い言葉が放たれ、今度こそ現実だと確信した私は、これでもかと目を見開いた。
思わず「んなっ!?」と叫んで身を引き、カウンターに肘をつく。ガタッ!という音で、バーメイドさんや他のお客様が驚いてこちらを振り向いたけれど、私は動揺しすぎてそれどころじゃない。
「な、な、なにをおっしゃって……副社長、本当はお酒強くないのでは!? この一杯で酔ってしまわれたんじゃ……!」
「あいにく強いぞ。マティーニは序の口だ」
「はっ! そ、そうだ、私が酔っているんですね! 私もそこそこ強いはずなのに、おかしいな」
「安心しろ。君も俺も正常だよ」
あたふたする私を珍しそうに見て、彼はぷっと噴き出した。私にとっては異常事態なんですが!



