俺が、私で、アイドルで - 秘密を抱いてステージへ

 数日後。

 朝の情報番組の片隅で、Bluebell Boysの特集が流れた。
 スタジオでの短いトーク。ヒナタが緊張のあまり「朝ごはん二回食べました」と言って笑いを取る。ユウキは「歌詞は朝より夜に書くタイプです」と涼しい顔。アオトが全体をまとめ、最後に「全力でいきます」と締める。レイは、短く丁寧に言葉を選んだ。

 SNSのトレンドに、グループ名がふっと顔を出す。

 夜の音楽番組。初のワンコーラス披露。
 ライトの熱、カメラの赤いランプ、モニターに映る「レイ」。
 ――テレビ越しの“ステージ”でも、呼吸の仕方は同じだ。
 歌い終えると、スタジオの拍手が遠い波のように聞こえた。

   ◇◇

 学校の廊下で、誰かの小声が耳に入る。
「昨日の番組見た?」「あの子、ちょっと瞳に似てない?」
「えー、まさか」
 瞳はローファーの音を静かに響かせ、教室のドアを開けた。
 ――心臓は少しだけ速かった。でも、顔は上げている。
 “レイ”は、ちゃんと前を向く。