そこには沢山の新聞が渦高く積まれた一角がありました。
上の方はまだ新しい新聞らしい色合いをしていますが、床に近い方の新聞紙は黄色く偏食しています。

何年分かの新聞を捨てずにため込んでいるようです。
七木田先輩はその中から新聞を一部抜き取って戻ってきました。
テーブルの上に新聞を広げて注視します。
「半年前、この学校ではひとりの女子生徒がいなくなったらしいの」

七木田先輩が指さしたのは新聞の右下辺りに書かれている行方不明者を探す記事でした。
「え? どういうことですか?」
私は混乱し、何度も瞬きをしてその記事に魅入りました。