それは誰がどう見ても意図的に取り付けられたもので間違いありません。
こんなものが学校のいたる場所に設置されていると思うと吐き気が込み上げて来ました。

「あ、あの、すみません!」
とにかく誰でもいいからこのカメラの存在を伝えなきゃいけない。
そんな思いで近くを歩いていた3年生の先輩を呼び止めました。

髪の毛の栗色に染めて丁寧に化粧を施した先輩が、驚いた表情で立ち止まりました。
「あの、あれ」

ちゃんと説明したいのに、言葉が喉の奥に引っかかって出てきてくれませんでした。
緊張で動悸が激しくなってきています。
「あぁ、カメラ? あれがどうかしたの?」