「昨日、あれからアカネと連絡取った?」

 ミドリちゃんが、モモカちゃんと私に聞いてきた。

「取ったのは取ったけど、たわいも無い内容だけ。蒸し返さない方がいいかなと思って」

「私も」

 そう答える、モモカちゃんと私。

「いやー……誰かにチクられてショックだったとは言え、私たちを疑ったのはショックだったなぁ」

 ミドリちゃんが、「あんたたちは、どう思う?」そう付け加えて、聞いてきた。

「確かにね……でも、たった一週間でバレたわけだし。『嫌われてチクられたのかもって』気持ち、分からなくないんだ、私も……」

「なになに……? モモカもそんな経験あるの?」

「うん……恥ずかしくてあんまり言いたくないんだけど、仲良しだと思ってたグループから仲間はずれにされた経験あるから。中学生の時の話だけど、あれはなかなかのトラウマになったよ。もしかして、アカネにもそんな経験あったのかもしれないなって……」

 モモカちゃんにしては珍しく、寂しげな表情を浮かべて言った。

 ちょっとした時間が、3人の間に流れる。炎天下のなか、ポーン、ポーンとテニスボールを打ち合う音が聞こえてきた。


「その点、私って何もないよね……みんなの前に立つ事もないし、かと言って、いじめられたことも無いし。存在感が無いというか、なんていうか」

 たまに発する言葉が、自虐だなんてさすが私。

「何言ってんの、それこそがスミレの存在感じゃない。そんなの全然気にしない子だと思ってた」

「ハハハ、私も!」

 ミドリちゃんとモモカちゃんは、そう言って笑った。

 違う違う! 私だってそういうの気にするんだから!

 きっと気づいてくれたと思う、アオイちゃんなら。