いつもと違って会話は全く弾まず、今日は早めにファミレスを出た。

 自宅までの帰り道は、近所のアオイちゃんと一緒なのです。

「今日みたいなアカネちゃん初めて見た。ちょっとビックリしちゃった、私」

 アオイちゃんと2人きりの時は、口数が多くなる私。

「そうだね。——まあ、ビックリはしたけど、想定の範囲内ではあるかな」

「ええっ!? 想定の範囲内なの?」

 私はつい、大声を出してしまった。

「私の姉がちょっとアカネに似てるのよ。明るいときと暗いときのギャップが激しいっていうか。まあ、アカネの方がマシだとは思うけど」

 アオイちゃんはそう言うと、フフッと笑った。

 やっぱりアオイちゃんは凄い。私が一人っ子だからなのか、そういうの全然分かんないんだよね。

「もしさ、もし……私たちの中に、アカネちゃんをチクった子がいるとしたら、誰だと思う?」

 私は思い切って、アオイちゃんに聞いてみた。

「んー、とりあえず私以外。——スミレも案外、怪しいかもね」

 思わず、真顔でアオイちゃんを凝視してしまう私。その顔が面白かったのか、アオイちゃんは「冗談だよ」と言って吹き出してしまった。

「やだなあ、もう。私アオイちゃんの言うこと、なんでも信じちゃうんだから。私だったら……絶対に、絶対に誰か選ばないといけないとしたら……ミドリちゃんか、モモカちゃんかな」

「まー……私もここにいるし、その2人しか選べないもんね。——ハハハ。もうやめよ、この話」

 そう言うと、アオイちゃんは涼しい顔で大きく伸びをした。