カラーズ

 あれから3ヶ月が経った。

 今日もカラーズは、いつものファミレスにいる。

「あー! ここも分かんない! どうやったらこの答えになるんだよ、これ」

 教科書片手に、サクラちゃんがアカネちゃんの隣に移動する。

「これ、こないだ教えたとこでしょ? しっかりしてよ、サクラくん」

 アカネちゃんがサクラちゃんの手の甲を、ペンでパシパシ叩いてる。

 あ。サクラちゃんってのは、あの時の平原さんです。いつの間にか、カラーズの新メンバーになっちゃいました。


 アカネちゃんたちがサクラちゃんに謝りに行った日、最初はめちゃくちゃ怒ってたらしくて。

 だけど、5分も経つとあっさりと許してくれたそう。

「あんたたちみたいな関係いいな、ちょっと羨ましい」

 フフ、そう言われたんだって。

 サクラちゃんは謹慎明けから、ちょくちょくファミレスに顔を出すようになり、いつの間にかカラーズの一員に。今までカラーズにはいなかったヤンキーキャラで、カラーズも少し雰囲気が変わりました。

 ただ、本人はちっともヤンキーだとは思っていないようで。

 私からすると、どこからどう見ても立派なヤンキーなんですけどね。


 他に3ヶ月前と変わった事……?

 そうそう、モモカちゃんが高校からアルバイト許可証を取りました。

「そんな制度あったの!?」

 と、一番驚いていたのはサクラちゃん。

 ちなみに、モモカちゃんがアルバイトを始めた理由は、「ファミレスのドリンク代」のためだったんだって。モモカちゃん家は家計がとても厳しいらしく、恥ずかしくてそれを言い出せなかったって。それを聞いたミドリちゃんが、モモカちゃんを抱きしめていたのが思い出深いです。

 他は……

 そうそう。アオイちゃんのお姉さんの就職が決まったらしく、アオイちゃんは念願の一人部屋になりました。私も時々お邪魔させてもらってます。


「あー疲れた! 今日はここまで。お疲れさまでした、アカネ先生!」

 サクラちゃんのテスト勉強が終わると、サクラちゃんはアカネちゃんの肩をもみだした。ヤンキーに肩を揉まれているカワイイ、オシャレ女子。うーん、なんとも不思議な光景です。

 そんな2人の向こう側、ドリンクバー付近ではミドリちゃんとアオイちゃんが、何やら盛り上がっているようで。

「いいねー!」

「じゃ、やろう! やろう!」

 2人から、そんな声が聞こえてくる。


「どうしたの、あの2人? 何に対して盛り上がってんの?」

 モモカちゃんがそう言って、私を肘でつついてくる。


 そんな私たちの視線に気付いたのか、2人が笑顔で戻ってきた。

「ねーねー。来月の三連休、ウチに泊まりにこない? 両親、旅行いくから私ん家貸し切りだよ!!」

 そんなミドリちゃんの誘いに、「もちろん!!」と、私たちは声を上げた。





〈 カラーズ 了 〉




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