カラーズ

 ここ最近あったことを、時系列に並べてみる。

◇5日(木)アカネちゃんがバイトしてると投書
◇6日(金)先生がアカネちゃんの家を訪問。

◇9日(月)アカネちゃん謹慎
◇10日(火)アカネちゃん謹慎
◇11日(水)アカネちゃん謹慎・平原さんがバイトしてると投書
◇12日(木)モモカちゃんがバイトしていたことをファミレスで知る

 たった一週間で本当に沢山の事が起きた。

 今日は16日の月曜日。あの日以来、モモカちゃんは学校に来ていない。

 そしてその日の昼休み、モモカちゃんを除いたカラーズ4人は、中庭に来ていました。天気がいいからと、中庭でお弁当を食べることにしたのです。

「モモカ、少しずつだけど返信くれるようになったよ」

 モモカちゃんがいないからか、元気の無いミドリちゃん。

「良かったじゃん。私たちには、殆ど返事ないけど」

 アオイちゃんは軽く笑って、そう言った。


「あ! 先生!」

 アカネちゃんが通りがかった先生に声をかける。私たちが1年A組だった時の担任、山口先生だ。

「お前ら、相変わらず仲いいな。今のクラスとも馴染まないと、新しい友だち出来ないぞ」

「このメンバーでお昼一緒に食べるのは久しぶりだもん。ねー」

 アカネちゃんはそう言って、ミドリちゃんにもたれ掛かった。

「——そういや鈴木、ちょうど先週の土砂降りの日だっけか? めちゃくちゃ早い時間に登校してたな。朝から何かあったのか?」

 アカネちゃんの顔が一瞬で蒼白になった。

「先週の土砂降りの日……? 土砂降りの日って確か、アカネは謹慎中だったよね。——アカネ、一体どういうこと?」

 ミドリちゃんがアカネちゃんの顔を覗き込む。アカネちゃんは目を逸らして、先生に顔を向けた。

「せっ、先生……それって私!? 人違いじゃない?」

 アカネちゃんの声が心なしか、うわずっているように聞こえる。

「んー……確かに、鈴木に見えたんだけどなあ。俺も耄碌(もうろく)したのかもな。——まっ、まあそういうことで。じゃあな」

 不穏な空気を察したのか、山口先生はそう言って中庭を後にした。

「アカネこっち向いて。——アンタ、嘘ついてないよね?」

 ミドリちゃんがアカネちゃんの両肩をつかんでそう言った。

「しっ、知らない、知らないっ!! 私じゃ無い!!」

 アカネちゃんはミドリちゃんの手をはねのけて、この場から逃げるように中庭を出て行った。

「あーあ……お弁当、こんなに残しちゃって……」

 アオイちゃんは、アカネちゃんが置いていったお弁当箱を片付けている。

 そしてミドリちゃんは、アカネちゃんが曲がった角をいつまでも眺めていた。