カークはエステルの姉ソフィアの乳兄弟だ。年は姉姫よりひとつ上で、エステルとは三つ違い。実家はダンフィル子爵家で、後継となる兄が一人いる。
長男以外の貴族家の子どもたちは、家が代替わりすれば平民となるため、幼き頃より将来の身の振り方を考えるよう教育されている。男子であれば騎士や役人や学者に、女子であれば女官や侍女、家庭教師などを目指す者が多い。もちろん、貴族の嫡子に嫁入り婿入りする手立てもある。
ソフィアの乳兄弟であるカークには上記に加えて、姉姫の侍従や小間使いとして終生勤める選択肢もあった。
しかし彼は騎士の道を選んだ。
理由はソフィアを守り、ソフィアに剣を捧げる忠誠を誓いたかったからだ。
彼にとってひとつ下の王家の姫は、生まれながらにして守らなければならない宝物のような存在だった。彼女の傍で侍従や小間使いとして仕えるよりも、物理的に彼女を守る剣となり盾となることを強く望んだ。希望通り十三の年には騎士学校に入学し、三年後には騎士見習いとして王立騎士団に入団、さらに一年後には准騎士に叙勲と、順調に我が道を進んでいる。
このままいけば十八の年には正騎士となり、熱望していたソフィア王太女に剣を捧げる誓いをすることになるだろうと思われた矢先のこと。
「報告申し上げます! 南部の都市ロータスにて魔獣が発生! 至急騎士団の派遣を要請したいとロータス領主より緊急の伝達です!」
「報告申し上げます! 国宝である聖剣が微かに光り始めました。聖剣の覚醒が近づいているということは、すなわち魔獣暴走の発生が近づいている予兆にほかなりません!」
数百年に一度訪れるといわれる魔獣暴走がルヴァイン王国を襲った。
長男以外の貴族家の子どもたちは、家が代替わりすれば平民となるため、幼き頃より将来の身の振り方を考えるよう教育されている。男子であれば騎士や役人や学者に、女子であれば女官や侍女、家庭教師などを目指す者が多い。もちろん、貴族の嫡子に嫁入り婿入りする手立てもある。
ソフィアの乳兄弟であるカークには上記に加えて、姉姫の侍従や小間使いとして終生勤める選択肢もあった。
しかし彼は騎士の道を選んだ。
理由はソフィアを守り、ソフィアに剣を捧げる忠誠を誓いたかったからだ。
彼にとってひとつ下の王家の姫は、生まれながらにして守らなければならない宝物のような存在だった。彼女の傍で侍従や小間使いとして仕えるよりも、物理的に彼女を守る剣となり盾となることを強く望んだ。希望通り十三の年には騎士学校に入学し、三年後には騎士見習いとして王立騎士団に入団、さらに一年後には准騎士に叙勲と、順調に我が道を進んでいる。
このままいけば十八の年には正騎士となり、熱望していたソフィア王太女に剣を捧げる誓いをすることになるだろうと思われた矢先のこと。
「報告申し上げます! 南部の都市ロータスにて魔獣が発生! 至急騎士団の派遣を要請したいとロータス領主より緊急の伝達です!」
「報告申し上げます! 国宝である聖剣が微かに光り始めました。聖剣の覚醒が近づいているということは、すなわち魔獣暴走の発生が近づいている予兆にほかなりません!」
数百年に一度訪れるといわれる魔獣暴走がルヴァイン王国を襲った。

