私は冷静になるために一旦、喫茶店に戻った。
先ほどと変わらず、喫茶店から見える駅前の桜の木は美しい。
しかしながら私はさっきとは違って落ち着きがない。
なんなら心臓がドキドキして息が荒いくらいだ。
喫茶店に戻ってきたのも、心臓が爆発的にドキドキしているのもなにもかもあのイケメンのせい。
あのイケメンは私が高校生の時から夢にずっと出てきた。
彼が夢に出てくる度に私は吐息を漏らしていたっけ。
夢って不思議。
夢でだとたくさんドキドキしなかったのにリアルであのイケメンと出会ったらこんなにも胸のトキメキが止まらない。
私は気持ちを落ち着かせるためにコーヒーを飲む。
だけどまだドキドキとうるさいこの胸はまだ静まりを知らないらしい。
コーヒーを1口、2口と飲み込む度にいつかこのドキドキが隣りに座ってる人に聞こえるんじゃないかと思った。
そういう心配も相まってさらに胸の高鳴りは増えていく。
これじゃ、コーヒーを飲んでる意味がないじゃないかと思った。
コーヒーだって他人の胸の高鳴りを抑えるために飲まれるとは思わなかっただろう。
私だってこんな事態になるとは思わなかった。
そう思いながら私は駅前にある桜の木を眺め、ようやく心を落ち着かせることに成功する。
するとそんな私に声をかけてくる人がいた。
「ねえねえ、もしかしてこれから○◯会社の入社式に行く人ですか?」
声のした方へ目をやるとそこにはとっても可愛い女性がいた。
多分、同い年くらいだろう。
大きな目にふっくらとした涙袋、そして長いまつ毛がなんともチャーミングだ。
少しウェーブがかった髪の感じから見ても明らかにハーフの女性だった。
私はそのハーフ美女に見とれながらも答える。
「はい。これから入社式に行きますよ。」
私がそう言うとそのハーフ美女は待ってましたと言わんばかりにこう言った。
「やっぱりそうなんですね!実は私も入社式に行くんです。」
なんとハーフ美女は同じ会社の新人社員だったのだ。
さすが美容系の会社なだけあり、入社してくる人の顔面偏差値は高い。
もしかしたらというより、きっとさっき喫茶店にいた桜の似合う美女もそうなんだろう。
まさか入社式前に喫茶店でこんな素敵な出会いに何度も恵まれるとは思わなかった。
やっぱり玄関で履いていく靴に念入りにおまじないをしたことも関係しているのかもしれない。
私はソッと靴のヒール部分を撫でた。
「なにしてるんですか?」
ハーフ美女が不思議そうな表情を浮かべている。
「ううん。なんでもないです。」
私は即座にそう返事した。
まさかこんなキラキラしたハーフ美女に言えるわけがない。
素敵な出会いを運んでくれた靴に感謝していたなんて。
その後、私はそのハーフ美女と入社式に向かった。
ハーフ美女の名前はミウナというらしく、美女って見た目だけじゃなくて名前も可愛いんだなと思わされる。
入社式前から美容系の会社のハードルの高さに驚かされるも、入社式は始まった。
いろんな人がいて私の会社員生活が始まることを実感する。
そうこうしているうちに取締役である社長のスピーチが始まった。
端正な顔つき、パッチリとした目、スッとした鼻筋に小さめの唇。
夢で見た時と変わらない、さっき会った人と同一人物の社長だ。
スラッとした長い手足が特徴的で身振り手振りをまじえたスピーチを華やかに彩る。
「カッコいいですね!この会社の社長って!」
隣りにいたミウナが私に耳打ちする。
どうやらハーフ美女もこの社長の前ではドキドキするらしい。
恐るべき社長パワーだと思っていたその時、なんと私は社長と目があったのだ。
そして社長は軽く会釈する。
「誰にお辞儀したんですかね?」
ミウナが不思議そうな表情をまた浮かべている。
「さあね。」
私はまさか自分にされてるなんてこの時は夢にも思っていなかったのだった。
先ほどと変わらず、喫茶店から見える駅前の桜の木は美しい。
しかしながら私はさっきとは違って落ち着きがない。
なんなら心臓がドキドキして息が荒いくらいだ。
喫茶店に戻ってきたのも、心臓が爆発的にドキドキしているのもなにもかもあのイケメンのせい。
あのイケメンは私が高校生の時から夢にずっと出てきた。
彼が夢に出てくる度に私は吐息を漏らしていたっけ。
夢って不思議。
夢でだとたくさんドキドキしなかったのにリアルであのイケメンと出会ったらこんなにも胸のトキメキが止まらない。
私は気持ちを落ち着かせるためにコーヒーを飲む。
だけどまだドキドキとうるさいこの胸はまだ静まりを知らないらしい。
コーヒーを1口、2口と飲み込む度にいつかこのドキドキが隣りに座ってる人に聞こえるんじゃないかと思った。
そういう心配も相まってさらに胸の高鳴りは増えていく。
これじゃ、コーヒーを飲んでる意味がないじゃないかと思った。
コーヒーだって他人の胸の高鳴りを抑えるために飲まれるとは思わなかっただろう。
私だってこんな事態になるとは思わなかった。
そう思いながら私は駅前にある桜の木を眺め、ようやく心を落ち着かせることに成功する。
するとそんな私に声をかけてくる人がいた。
「ねえねえ、もしかしてこれから○◯会社の入社式に行く人ですか?」
声のした方へ目をやるとそこにはとっても可愛い女性がいた。
多分、同い年くらいだろう。
大きな目にふっくらとした涙袋、そして長いまつ毛がなんともチャーミングだ。
少しウェーブがかった髪の感じから見ても明らかにハーフの女性だった。
私はそのハーフ美女に見とれながらも答える。
「はい。これから入社式に行きますよ。」
私がそう言うとそのハーフ美女は待ってましたと言わんばかりにこう言った。
「やっぱりそうなんですね!実は私も入社式に行くんです。」
なんとハーフ美女は同じ会社の新人社員だったのだ。
さすが美容系の会社なだけあり、入社してくる人の顔面偏差値は高い。
もしかしたらというより、きっとさっき喫茶店にいた桜の似合う美女もそうなんだろう。
まさか入社式前に喫茶店でこんな素敵な出会いに何度も恵まれるとは思わなかった。
やっぱり玄関で履いていく靴に念入りにおまじないをしたことも関係しているのかもしれない。
私はソッと靴のヒール部分を撫でた。
「なにしてるんですか?」
ハーフ美女が不思議そうな表情を浮かべている。
「ううん。なんでもないです。」
私は即座にそう返事した。
まさかこんなキラキラしたハーフ美女に言えるわけがない。
素敵な出会いを運んでくれた靴に感謝していたなんて。
その後、私はそのハーフ美女と入社式に向かった。
ハーフ美女の名前はミウナというらしく、美女って見た目だけじゃなくて名前も可愛いんだなと思わされる。
入社式前から美容系の会社のハードルの高さに驚かされるも、入社式は始まった。
いろんな人がいて私の会社員生活が始まることを実感する。
そうこうしているうちに取締役である社長のスピーチが始まった。
端正な顔つき、パッチリとした目、スッとした鼻筋に小さめの唇。
夢で見た時と変わらない、さっき会った人と同一人物の社長だ。
スラッとした長い手足が特徴的で身振り手振りをまじえたスピーチを華やかに彩る。
「カッコいいですね!この会社の社長って!」
隣りにいたミウナが私に耳打ちする。
どうやらハーフ美女もこの社長の前ではドキドキするらしい。
恐るべき社長パワーだと思っていたその時、なんと私は社長と目があったのだ。
そして社長は軽く会釈する。
「誰にお辞儀したんですかね?」
ミウナが不思議そうな表情をまた浮かべている。
「さあね。」
私はまさか自分にされてるなんてこの時は夢にも思っていなかったのだった。

