カワイイ偽物彼女

 次の日、私は寝坊してしまい、速足で駅のホームに向かっていた。

 電車にも間に合い、無事学校につくことが出来そうだと落ち着く。

 それにしても、今日はいつにもまして混んでいる・・・

 ちびな私は、すぐに潰されそう・・・

 私はあわあわと焦りながら、早く降りる駅が来ることを祈った。

 
 降りる駅について、降りようとするもなかなか進めない。

 ちびな私は人の海に沈み、声をあげても気づいてもらえない・・・

 このまま、遅刻しちゃうのかな、なんて沈んでいた次の瞬間、私は腕を引っ張られ、ドアが閉まる前に降りることができた。

「あ、ありがとう」

 腕を引っ張ってくれた相手の顔を見上げると、昨日助けてくれた男の人が立っていた。

「ございま、した」

 私が驚いて固まっていると、吹き出すように笑いながら、私を黄色の瞳が獲物を見るような目でとらえる。

「大丈夫だったかな、桜木ちゃん」

 その目で見られると、なんだかソワソワする。

 今までに感じた嫌な視線ではなく、もっと暖かくて、緊張しちゃうくらいの甘い視線。

 少し、居心地が悪いような気がするのに、この瞳の中にとらわれられたら、なんて考えちゃうような危険な瞳。

「えっと・・・」

 そんな、馬鹿なことを考えちゃうくらい綺麗な人。

 昨日はそこまで気にしなかったけど・・・急に緊張してくる。

「そういえば、名乗ってなかったよね。」

「俺は高嶺零、三年だよ」

 私より一つ上の先輩の高嶺零さん。

 名前に似合う、綺麗な人。

「高嶺先輩、ですね!」

「呼び捨てでもいいよ?」

「高嶺先輩、ですね!!」
 
 流石に先輩を呼び捨てはいけないよね!

 そもそも、男の子を名前で呼ぶことも出来ないのに、呼び捨てなんて無理!!

「えー」

 不満げに口を尖らす先輩は不覚にも、可愛いと思った。

「ふふっ」

 つい、笑ってしまった。

 こんな綺麗な人の可愛い姿なんて、なかなかレアな姿だったんじゃないかな。

「・・・やっぱ、ちょーかわいい。」