「だからまずはデートからでも…って華子ちゃん!?」
色々と処理しきれなくなった私は思わずその場から走り出してしまった。
呆然と立ち尽くしていた早瀬くんをひとりにしたまま、私はひと気のない空き教室に飛び込んで、ドアを閉める。
そのままずるずるとドアに背を預けたまま、その場にしゃがみ込んだ。
顔に熱が集まっていく。
きっと、自分が思っているよりもずっと前からこの気持ちはあったのかもしれない。
気づくのに時間がかかっただけで…
「私、綿谷くんのこと好きなんだ……」
小さくこぼれたその言葉は、誰にも届かないまま、教室の中に溶けていく。
けれど、一度形になってしまった想いは、もうなかったことにはできなくて。
胸の奥で、静かに、でも確かに、鼓動が早くなる。
「はあ…どうしよう」
予鈴に気づくこともなく、私はただひとりため息を吐くばかりだった。


