来なければいいと願っていた放課後までは、あっという間に時間が過ぎた。 荷物を持った私は、3階へと向かう。 廊下から見える空には、黒くて分厚い雲が一面に広がっている。 帰る頃には、雨が降るかもしれない。 行きたくない気持ちでいっぱいで、足取りも重いけど、取られたままの本を返して貰わないと…… 空き教室のドアを開けると、腕を組んだ中里さんが、すでに待っていた。 「おっせーよ」 「ご、ごめんなさい……」 「ほんっと、あんた見てるとイライラするわ。ま、いーけど」 「…あ、あの、本は…」