吹奏楽に恋した私の3年間

コンクールの曲には、ホルンのメロディーの部分があった。

それを見つけた瞬間、私は思わず楽譜を抱きしめたくなった。

「え、ここ…私が吹くの?」

しかも、あゆか先輩の楽譜と同じ、1stの楽譜がもらえたのだ。

「え、やばいうれしいいいい!!」

嬉しくて、何度も何度も練習した。


そんなある日、あゆか先輩が笑いながら言った。

「メロディーあるの嬉しいのはわかるけど、ほかのとこもね〜」

「あはっ、はい!」

私は素直に答えたけど、しばらくして先輩がトロンボーンの人に

「えへっメロディーあるんだ〜」

って自慢してるのを見て、 なんだかほほえましくなった。

先輩も、やっぱり嬉しいんだ。

普段裏打ちとかしかやっていないホルンからしたら、 メロディーって、やっぱり特別なんだなって思った。


そして、コンクールまであと二週間。

桜田先生の指導は、さらに厳しくなっていった。

でも、先生の言葉はいつもわかりやすくて、

「ボールを底に置くように、そっと吹いて!」

「自信を持って、ホールの非常口に届けるくらい響かせて!!」

って、例えが面白くて、頭にも残る。

あまりにもみんなが下を向いて吹くから、 先生が突然「非常口ーーー!!!」って叫んで、 部室が笑いに包まれた。

その笑いの中にも、音楽への真剣さがあって、 みんなが少しずつ“本番”に向かっていく空気があった。

時間は、ほんとうにあっという間だった。 気づけば、コンクールの日がすぐそこまで来ていた。